20〜30代のゴルフ場予約件数が急増し、初心者向けゴルフセットの売れ行きが絶好調。そんな今だからこそ、初心者ゴルファーがゴルフを楽しむためには何が必要かをしっかり考えておきたい。ゴルフトレンドウォッチャー・コヤマカズヒロが考える、初心者ゴルファーとラウンドするときの心得。

20〜30代の若年層の予約件数が前年の2倍になっているのだという。「ゴルフ 初心者」といったワードでの検索も増え、ゴルフショップでは初心者向けフルセットが売れすぎて、商品が確保できないという嬉しい悲鳴も聞く。巷で言われているゴルフ初心者が増えているという話を実感することも多くなった。

筆者も先日、その日でラウンド3回目という初心者ゴルファーと組み合わせで一緒になった。せっかくゴルフをはじめようという方なので、なんとか楽しく回ってもらえるように、私なりに腐心した。というのも、せっかくゴルフをはじめても、上手くならなかったり、嫌な思いをしたりして、早いうちにやめてしまう離脱ゴルファーが少なくないからだ。

とはいえ、気を使ったのはむしろ先方のほうだろうとも思う。仲間ならまだしも、見知らぬ他人が一緒ではどうしても「遅れないように、迷惑をかけないように」とプレッシャーがかかってしまう。ラウンドするのも手一杯の初心者ゴルファーに、気を使わせるのはなんとも忍びないものだ。今回はそんな経験を踏まえ、筆者なりに考えた、初心者ゴルファーとラウンドするときの心得を紹介したい。

とにかく褒めちぎる

ゴルフ歴が長くなれば誰もが知ることになるが、ゴルフはまあ上手くいかないスポーツだ。昨日出来ていたことも、明日にはできなくなることもしばしばで、いつまで経っても思うようにはプレーできないものだ。しかし、初心者の目線は存外高く、ナイスショットが出ないと不満に感じる人も多い。

画像: 「ナイスショット」という声は嬉しいもの。初心者ゴルファーとラウンドするときは積極的に声かけ、盛り上げよう(撮影/ 渡辺義孝)

「ナイスショット」という声は嬉しいもの。初心者ゴルファーとラウンドするときは積極的に声かけ、盛り上げよう(撮影/ 渡辺義孝)

そこで、初心者に少しでも気分良く回ってもらうためにも、とにかく褒めるのが大事だ。空振りしても当たり前。ボールに当たったら褒める、前に飛んだら喝采して、良い当たりが出たら小躍りして褒めちぎろう。上手くいくことなどないのだから、少しでも褒めて、落胆しないように、楽しくプレー出来るように心がけたい。

実際、大人になってから他人に褒められることなど、なかなかないのだ。いいプレーを褒めてもらうのは、ゴルフの隠れた魅力と言っていい。「ナイスショット!」、「ナイスイン!」などと連呼して、場を盛り上げたいものだ。

むやみに急かさない

初心者とのラウンドで一番気になるのは、前の組との間隔を開けないことだろう。昔はクラブを2、3本持って、とにかく走れ走れと言われたものだ。クタクタになりながら走り、遅い遅いとなじられ、ボールには当たらず、ゴルフが嫌になる人はとても多い。

ベテランゴルファーの方に想像してもらいたいのだが、初心者は我々が左打ち(※左打ちの人は右打ち)でプレーしているようなものなのだ。なかなか当たらないし、体力や集中力も余分に使うことになる。そして、この点が重要なのだが、いくら急かしてもかえって当たらなくなるだけで、大して早まることはないのだ。

画像: スロープレーにならない方法を伝えよう!セカンド、サードショット地点にクラブを複数本持っていくのもそのうちのひとつだ(撮影/ 三木崇徳)

スロープレーにならない方法を伝えよう!セカンド、サードショット地点にクラブを複数本持っていくのもそのうちのひとつだ(撮影/ 三木崇徳)

スロープレーを奨励しているわけではなくて、プレーを速くするには急かすのではなく、どうしたら速く回れるかを先に教えるのが良いと思う。クラブを入れる前にカートに乗り込む、ボールの場所に行く前にクラブを持っていく、ホールアウト後に拾いやすいところにウェッジ類を置くなど、ゴルファーが普通に行っていることを最初に伝えておくことが寛容だ。「ボール探しはしない。見つからないときはその辺りから打つ」、「ライが厳しいところやバンカーは、打ちやすいところに出してもOK」など、初心者専用ルールを最初に設けておくのも効果的だ。

技術を教えない

これがいちばん大事なのだが。初心者ゴルファーを相手にすると、喜び勇んでスウィングの話をしはじめるひとがいる。アドレスから、カラダの動かしかた、腕の使いかた、クラブの位置まで、それぞれのスウィング理論を駆使して、即興レッスンが始まるのだ。ひどいのになると、「今はヘッドアップしたね」とか「体重が右に残ったね」などと、1球1球ミスショットの解説をする人までいる。

初心者ゴルファーたちはどうして上手くいかないのかが知りたいので、彼らに色々と聞くので、喜々としてレッスンが始まってしまうのだ。そして大抵の場合は、何をやっても上手くはいかないので、レッスンもなんとなくグダグダで終わってしまう。

一番良くないのは、言葉ばかりが頭に入ってしまい、カラダがスムーズに動かなくなることだ。そんな経験はゴルフ歴の長いゴルファーもあるのではないだろうか。ちなみにゴルフが上手くなると、総じてアドバイスには慎重になる。ゴルフの難しさ、人それぞれの身体特性の違いなどが徐々にわかってくるからだ。雄弁な人は、大抵の場合、あまり上手くない。

「じゃあ、どうしたらいいんだ! 初心者が当たらないのをほっとくのか」と言われそうだが、即興レッスンはかえって悪くなる可能性のほうが俄然高いのだ。「気持ちよく振り切ろう」とか、「ナイスショットのイメージを持とう」とか抽象的な表現に留めておくのが良いだろう。教え魔が憂鬱でゴルフから離れる人は非常に多いのだ。

ゴルフ歴が長くなっても、初心者の頃のラウンドはよく覚えているものではないだろうか。そのときに楽しくラウンドできて、ゴルフの楽しさを知ってもらうことが出来たら、同伴プレーヤーとして誇らしく思えるだろう。ビギナーが気持ちよく回れるように気配りするのは、中上級者のつとめなのだ。

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