渋野日向子をサポートし、渋野を“しぶこ”と呼ぶコーチ・青木翔は「教えるほうも教わるほうも怖いのは『固定概念』」だという。自身の著書「打ち方は教えない」からコーチングで必要な心構えを教えてもらおう。

僕がコーチを始めた8年前は、コーチングの情報を今ほど簡単に手に入れることができませんでした。

ことゴルフに関しては、レッスン書はたくさんあったのですが、多くは技術を解説したもので、その技術を選手に届ける方法は探し出すことができませんでした。

だから僕は、どうしたら選手が自身の力で成長することができるのかを、レッスンの中で試行錯誤していったのです。

トライ&エラーを繰り返すうちに、だんだんとコーチングというものが実感として理解できるようになってきました。

と同時に、ジュニアだけでなく、プロやアマチュアの指導でも使うことができたら、彼らの成長の手助けになるのではないかと考えるようになったのです。

教えるほうも教わるほうも、怖いのは「固定観念」です。

画像: コーチも選手も固定概念を持たずにチャレンジしていくことで、成長に繋がっていく(写真は2019年のmeijiカップ 撮影/岡沢裕行)

コーチも選手も固定概念を持たずにチャレンジしていくことで、成長に繋がっていく(写真は2019年のmeijiカップ 撮影/岡沢裕行)

「今までこうやってきた」とか「常識ではこう言われている」という考え方は、結果が出ていない状況ではほとんど何の役にも立ちません。

昔は使えたものでも、時代や道具、そして人が変化する中で、通用しなくなってしまうことは多々あります。

クルマに分厚い地図を積まなくなったように、急用でも緑の電話ボックスに駆け込まなくなったように、時代が変われば道具が変わり、やり方も変わってくるのです。

だから、僕も常に変わろうと思っています。

「固定観念」を持っていると、その価値観を押しつけるような指導しかできなくなってしまうからです。

どうしたらもっと良くなるのか考えるのは、選手だけではありません。教える側のコーチや上司、親御さんも常に変化を恐れずチャレンジをしていきましょう。

コーチは生徒であり、生徒もまた誰かに気づきを与えるコーチでもあります。

「打ち方は教えない。」(ゴルフダイジェスト社)より

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