硬く速いグリーンにの奥に切られたピンに距離を合わせた
2000年生まれの西村優菜選手。安田祐香、古江彩佳などプラチナ世代と呼ばれるうちの一人ですが、2学年年上の畑岡奈紗、渋野日向子選手らの黄金世代と同じように非常にレベルの高い選手が集まっています。
昨年プロテストに合格し、QT(予選会)を21位で通過、デビュー初戦の「アース・モンダミンカップ」から2戦連続で予選落ちに終わりましたが、続く「ニトリレディス」で9位、「日本女子プロゴルフ選手権」で最終日を1打差の首位でスタートするも7位タイで終えます。
その経験を生かし前試合の「富士通レディース」では最終日に追い上げ4位タイ、そして今大会では最終日に8バーディ1ボギーの7アンダー65を叩き出し、最終ホールのバーディで6打差を逆転する劇的な初優勝を遂げました。キレキレだったアイアンショットを見てみましょう。
西村選手はフェースをやや開閉させながら使うタイプで、手元が頭よりも高いアップライトな軌道です(画像Aの左)。画像Aの左右の画像を見比べると、トップからダウンスウィングにかけて体の軸がブレずにクルっときれいに回転し、クラブがその回転に引っ張られていることが見て取れます。
頭の位置も左へ突っ込まずバイザーのつばの向きもほとんど変わってませんよね。軸を中心に下半身で作った回転力によって、クラブを加速させています。
インパクトで左手首の角度は左腕と一直線にフラットになります。これはスクェアにインパクトできている証拠。インパクトからフォローにかけて左肩が上がっていますが、これは肩の縦回転で打っているから。手先でコントロールしていないので、フェースをスクェアに戻す再現性も高いスウィングと言えます。
この安定したショットに加えて、マネジメントも冴えを見せました。三菱電機レディス最終日のバックナインでは3連続を含む5バーディを奪いましたが、エッジから20ヤード以上奥に切られたホールは実に7ホールありました。速くて硬いグリーンの奥に切られたピンに対して手前に落としてランを考えながら攻めることができていたことが、バーディ量産の背景にあります。
黄金世代、プラチナ世代と女子ツアーは本当に新しい選手が次から次へと出てきます。世代としては、宮里藍さんの活躍を見て憧れ、プロゴルファーを目指した選手たち。彼女たちの活躍はまだまだ続きそうです。
西村選手はコースのコンディションやピン位置に対応するマネジメント、優勝争いでも萎縮しないメンタルと収穫の多い一週間になったと思います。波に乗ってすぐに2勝目を挙げたとしても、驚きません。