まずは、2020年秋に発売された主要メーカーのニュードライバーをまとめてみよう。
・ピン「G425」シリーズ3モデル(G425MAX、G425LST、G425LST)
・ダンロップ「スリクソンZX」シリーズ2モデル(ZX5、ZX7)
・タイトリスト「TSi」シリーズ2モデル(TSi2、TSi3)
・ブリヂストン「ツアーB X」
・テーラーメイド「SIMグローレ」
まずはTSiドライバー。PGAツアーではすでに40名の選手がスイッチしているというが、国内男子では小野田享也と勝俣陵がTSi2、幡地隆寛と梅山知宏がTSi3へ移行済みのようだ。
続いて、ツアーB Xドライバー。男子では堀川未来夢、木下稜介、関藤直熙、松本将汰、西山大広
、そしてクラブ契約フリーながら宮里優作も新たなツアーBドライバーにスイッチ。メーカー担当者によると「総じて飛距離が出てねじれない点が好評」のようだ。
一方女子では大里桃子、西山ゆかり、川崎志穂、髙木優奈の4名がスイッチ。女子プロでは同じツアーBブランドでも「JGR」を好むプロが多く、とくに去年発売のJGRドライバーで20ヤードもの飛距離アップを果たした三ヶ島かなや、今季1勝を挙げている古江彩佳はスイッチしていないようだ。
同じく今季開幕戦で優勝した渡邉彩香も、引き続き2015年発売の「ツアーB J015」ドライバーを愛用し続けている。
ツアーB Xと似たような状況となっているのが、スリクソンZXシリーズ。同メーカー別ブランドの「ゼクシオイレブン」「ゼクシオX」ドライバーが女子プロに好評だが、新垣比菜がZX5、山下美夢有、石川明日香、香妻琴乃がZX7と、4名がスイッチしている。
一方男子プロは多くがスイッチ済み。ZX5を選んだのは香妻陣一朗、木村佳昭。稲森佑貴、星野陸也、出水田大二郎、塚田陽亮、片岡尚之がZX7を選択した。
そしてテーラーメイドのSIMグローレ。アマチュア向けドライバーで「『プロのヘッドスピードでは『つかまりすぎる』という意見が多いです』とテーラーメイド関係者が言うくらいつかまるクラブだが、男子プロの池村寛世がスイッチ。
唯一スイッチした池村は「『フジサンケイ』の練習日に初めて手にして試したら最高によかったんです。即決でした」と好感触。池村は3番ウッドをバッグへ入れず、代わりにドライバーで“直ドラ”するという一風変わったクラブ戦略を取っているが、その直ドラのしやすさもSIMグローレを選んだ理由の一つだろう。
そして、ピン「G425」シリーズは男子だと額賀辰徳、高柳直人、大槻智春がG425MAXへスイッチ済み。塚田好宣はG425LSTを選んだようだ。
一方国内女子は鈴木愛とセキ・ユウティンがG425LST、比嘉真美子がG425MAXへスイッチしているが、その他の女子プロは未だ目処が立っていないという。
ピンの看板プロの一人、渋野日向子は「樋口久子 三菱電機レディス」練習日にG425MAXをバッグに入れていたが、ピンの担当者によれば「(G425MAXは)渋野選手がアメリカから帰国後に支給されたばかり」とのこと。実際に三菱電機レディス予選では使い慣れたG410プラスで戦っていた。
ここまでざっとニュードライバーのプロの使用状況を列挙してきたが、5メーカーとも男子プロのスイッチ人数に対し、女子プロのスイッチ人数がやや少なめという印象だ。
もちろん先に挙げたゼクシオやツアーB JGRのように、女子プロの場合は同メーカーのクラブと競合しているケースもあるが、それだけではない。実は昨今の新型コロナウィルスの感染拡大の影響も決して少なくないとピンの担当者は語る。
「選手たちには(ニュードライバー)をお渡ししてあるのですが、レンジでプロが打ち『こうしたい』という要望に対するサポートがツアー会場でできない状態です。それもあり、選手個別での対応が難しいんです」(ピン担当者)
とはいえ、スイッチしているプロはもちろんいるし、男女プロの使用はギアの最大のPRになるもの。秋の新製品のなかで、プロの使用によって注目を集めるのはどのモデルなのか、注目したい。