PGAツアーで活躍し、過去にはグリーン上でラインを読む際の独特なスタイル「スパイダーマンポーズ」が日本でも話題となったカミロ・ビジェガスが、亡き娘の名を冠した財団を設立。ガンに苦しむ子供や家族を支援する活動を始めた。

“帝王”ニクラスの言葉を受け、娘の名を冠した財団を設立

先週のPGAツアー「RSMクラシック」では、久しぶりに初日首位発進したカミロ・ビジェガス。最終的には首位と3打差の6位タイで終了し、2014年以来6年ぶりの優勝とはならなかったが、2017年の「バレロ・テキサスオープン」以来のトップ10入りとなった。

画像: 先週開催されたPGAツアー「RSMクラシック」で2017年以来約3年ぶりのトップ10入りを果たしたカミロ・ビジェガス(写真はGettyImages)

先週開催されたPGAツアー「RSMクラシック」で2017年以来約3年ぶりのトップ10入りを果たしたカミロ・ビジェガス(写真はGettyImages)

彼の愛娘・ミアちゃんが、生後たった22ヶ月にしてガンで亡くなった話は先日の記事で紹介済みだが、彼の妻マリアとともに、「ミアズ・ミラクル(ミアの奇跡)」という名前の財団を立ち上げ、彼らの母国のコロンビアとアメリカに住む、幼くしてガンを患う子供達やその家族を助ける活動をスタートさせた。財団のロゴには、ミアちゃんの大好きだった「虹」をモチーフとして使われている。

「娘は何かを学ぶために生まれてきたのではない。私たちに教えるために生まれてきたの」とマリア夫人は語っている。

2014年に結婚した二人は、4年後の9月26日にミアちゃんを授かった。生まれた時から聡明で、「old soul(実年齢よりも賢く、物事を理解し、精神面も安定している人に使われる言葉。輪廻転生を繰り返し、何度も生まれ変わった魂を意味することもある)」の持ち主だと思ったという。周囲の人々の顔をじっくり眺め、喜びに満ちた表情を浮かべていたそうだが、その上、ビジェガスやマリア夫人にたくさんの愛やエネルギーを与えてくれるような子供だった。

彼は肩の負傷でここ数年、試合にまともに出場できる状態ではなく、しかも今年のコロナウイルスの影響のため、ゴルフをすることができず、自宅で過ごすことが多かったのだが、ミアちゃんの存在が彼の生きがいとなり、彼女の治療に専念することができた。

マリア夫人は非常に信心深い人で、スピリチュアルな考え方をする人。ミアちゃんの過ごす無機質な病室の中を、虹の絵や写真、親戚の子供たちの絵で飾りたて、自宅にいるときのようにリラックスできるよう、アロマオイルのディフューザーを置いた。これも、部屋の中をできるだけ明るく楽しい雰囲気にし、生きる活力を愛娘に与えたいというマリア夫人のアイデアだった。

ミアちゃんのガンが今年の3月に発覚し、たった22ヶ月の命が「死」という形で終わってしまったのは残酷であり残念なことだ。しかし、彼女の死はただ悲しいだけのものにはならなかった。

ジャック・ニクラスが、ビジェガスの置かれている状況を理解した上で、彼にこんな話をしたという。

「孫のジェイク(2005年、17ヶ月で浴槽で溺死)が亡くなったが、それ以来長年、“ジェイクプロアマ”を開催している。このプロアマを通して寄付金を募り、人々を助けるためにね」

その話を聞いたビジェガスは、ミアちゃんの名前を冠した財団を設立。彼らと同様、ガンに患う子供達を助け、その家族を助けるために立ち上げたものだ。

「もちろん、娘を亡くしたことは悲しいけど、私たちは大丈夫。彼女の名前を財団に名付けることができて光栄に思うわ」(マリア夫人)

「old soul」の愛娘から与えられたミッションは、始まったばかり。肉体を失っても、彼女の魂は両親とともに生き続け、苦しむ人々を救う。22ヶ月の短い命をもって、ビジェガスたちに教えたことはまさに「ミアの奇跡」だった。

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