DJも使用する7番ウッドは何が良いの?
海外メジャー「マスターズ」を制したDJのクラブセッティングの中で、ちょっと意外なのがSIM MAXの7番ウッドを採用している点だ。
DJ以外にも、PGAツアー選手ではトミー・フリートウッドやアダム・スコットがタイトリスト「TSi2」の7番ウッドをバッグインしている。7番ウッドというと、最近ではちょっと同じロフト帯のユーティリティに押されている感があるが、ユーティリティではなく7番ウッドを使うメリットはどんな点なのか。プロゴルファー・堀口宜篤が、SIM MAXの7番ウッド(21度)と、同じロフト帯のSIM MAX レスキューの4番(22度)と比較試打を行った。
ではさっそく堀口がSIM MAXレスキューの4番、SIM MAXフェアウェイウッドの7番を打った結果を見てみよう(表1)。
キャリー(y) | トータル(y) | 打ち出し角(°) | スピン量(rpm) | |
SIM MAXレスキュー | 202.0 | 217.4 | 13.4 | 3223 |
SIM MAX FW | 221.0 | 234.6 | 14.1 | 3572 |
まずはウッド型UTのSIM MAXレスキューでは平均打ち出し角13.4度、スピン量は平均3223rpmと少なめで、印象としては“強い球”が出た。
それと比べるとSIM MAXの7番ウッドは、打ち出し角がより大きく、スピンも多め。ロフトが1度立っていて、クラブ長も41.75インチと、レスキューの39.75インチより2インチ近く長いため、飛距離もかなり出ている。
試打結果を見た堀口は、「“高さを出しやすい”という特徴が、DJが7番ウッドを採用した理由ではないでしょうか」と分析する。
「7番ウッドだと打ち出し角が大きくボールが高く上がりやすいことで『降下角』が十分確保できます。それによりグリーンを狙うショットでも高さで止められるため、オーバーの危険が少ないんです」(堀口、以下同)
実際マスターズ最終日8番ホールでは、ピンまで残り244ヤード地点のフェアウェイからグリーンを狙うセカンドショットで7番ウッドを選択したDJ。トータル236ヤード飛ばしつつ、着弾したあとはビタッと止まり、グリーンオンに成功していた。
同様のロフト角なのにも関わらず飛距離やボールの高さの結果に差異が生まれる理由として「ヘッド形状の差もありますが、クラブ長の影響も大きいですね」と堀口。41.75インチという長さは「一昔前の3番ウッドくらいの長さですよね」と堀口。
クラブが長くなれば操作の難易度は高まるが、そのぶん打ち出しの高さや飛距離面で優れる。UTのほうが球を上げやすいと感じるゴルファーが多いかもしれないが、同じロフト帯であれば長くてヘッドスピードが上がりやすいFWは高さを出しやすい。
さらにヘッド自体の性能も一昔前のモデルから大幅に進化していることも大きいと堀口は言う。
「昔の7番ウッドって、振っていくとスピンの多い吹け球になって前に飛ばない印象があったんですけど、今の7番ウッドにはそんな印象はないです。それでいて多少コントロールが効くくらいのスピン量は確保されているのも、使い勝手が良い点です」
つまり、「飛距離を出しつつグリーンを狙うことができる」という7番ウッドの利点に加え、今までヘッドスピードが速いがゆえに7番ウッドを扱えなかったプロや上級者たちも扱える性能に進化したことも、採用の大きな要因と言える。
ちなみに、アマチュアが7番ウッドを採用するとしたら、ハードヒッターであれば3番ウッドの下に5番ウッドの代わりとして7番ウッドを入れるのがオススメだと堀口。それならば、ウェッジを減らさらずに無理なく採用できる。アベレージゴルファーであれば、3番も5番も思い切って抜いて、ドライバーの下にいきなり7番ウッドという選択肢もあり得る。もちろん、7番ウッドと一言で言ってもタイプは様々なので、気になったらまずは試打をするのがいいだろう。
2020年12月8日21時10分 本文中の画像を差し替えました。