12月16日にメディア向けに行われたスリクソン主催の「松山英樹×SRIXON LIVEセッション」。プロキャディ・杉澤伸章を聞き役に迎え、松山に2020年を振り返る様々な質問が投げかけられた。その中で語られた、松山のギア選びに対するこだわりの部分を余すところなく全文掲載!

スリクソンZXドライバー投入のきっかけは?

Q:松山選手と言えば、BMW選手権でドライバーをスリクソンZXに替えたことが話題となった。逆になぜ、今までスリクソンのドライバーを使わなかった?

松山英樹(以下松山):まあタイミングが中々なかったというのは(あります)。自分のスウィングや打ちたい球があって、それを打つときに当時のスリクソンドライバーがなかなかフィットしなかったんです。(今年は)ティショット自体の調子がめちゃくちゃ悪かったのと、(スリクソンZXには、今より)もうちょっと飛ぶかもという期待もあって「どうせ悪いんだったら、替えちゃえ」というのでスタートしたら、BMW選手権で3位になりました。

画像: BMW選手権ではZX5ドライバーのプロトタイプを実戦投入。その後ZX7もツアー選手権で使っていた(画像は住友ゴム工業ニュースリリースより)

BMW選手権ではZX5ドライバーのプロトタイプを実戦投入。その後ZX7もツアー選手権で使っていた(画像は住友ゴム工業ニュースリリースより)

Q:その選択がハマったと。

松山:そうですね。(球筋は)荒れていましたけど、飛距離も出ていましたし。

Q:もともと松山選手はクラブを替えるのには慎重派なイメージがあるが?

松山:いや結構替えてますよ。やっぱり自分が納得いけば全然すぐ替えられます。

Q:スリクソンの松山選手担当ツアーレップ・宮野敏一氏から見て、松山選手のクラブへのこだわり具合はどう?

スリクソン 松山選手担当ツアーレップ・宮野敏一氏(以下宮野):みなさん言わずもがなでご存じだと思うんですけど、本当に厳しい目を持っていますし、使ってもらうまでには自分の前任者の頃からの長い道のりだと思います。でも逆に言うと先入観なくいろんなものを前向きにテストしてくれるので、すごくメーカーとしては頼りがいのあるプロです。

松山:新しいものが出るっていったら、いつも楽しみにしていますね。(スクリソンZXドライバーのテストも)結構やりましたよね。一球打ったら「こっちのほうが良いかも」と、より良くするために続けていたら、気づけば夕方みたいな。

宮野:松山選手は、いつも新しいモノにはアンテナを張られています。クラブやシャフトにしても、色んなアイテムで。

Q:松山選手自身のクラブへのこだわりは?

松山:まずは見た目から入ります。めちゃくちゃ大事です。たとえばドライバーであればロフトが少し立っているように見えたら、「今の自分の動きだったら上がらない」と思っちゃって、上げる動きが入ってしまったりだとか。それはアマチュアの方も一緒じゃないですか。フェースがすごく見えていたら被せようとしちゃいますし。なので、自分が見たときにストレートに見えて、「これくらいの弾道でちゃんと飛んでくれそう」というのをまずもって見ますね。

Q:構えたときの、具体的にどの辺りの形状を重視している?

松山:構えた際の、シャフトからトップラインへのつながりを見てますね。あとはそれに対するロフトの付き方やクラウン後方のバランスなども見ています。

画像: 松山が現在バッグインしているスリクソンZX5ドライバー。2モデルのうちZX5を選んだ理由も構えたときの顔の良さだという

松山が現在バッグインしているスリクソンZX5ドライバー。2モデルのうちZX5を選んだ理由も構えたときの顔の良さだという

宮野:ツアー選手権の時は、毎日練習場で松山プロが打っている横でずっとクラウンとフェース上部の境目をペイントして、(見え方を)調整していましたね。

松山:フェース面とクラウンでは、色が違うじゃないですか。たとえばよりフェース面を見せたいのなら、(クラウンとフェース面の境目も)色をフェース面に近づけて、といったような(感じ)。そういった小さなことをいっぱいやっています。

宮野:(見た目で)オッケーが出ないと打ってくれないんですよ。

Q:やはりまず見た目ありき?

松山:そうですね。(クラブ選びの)9割くらい(見た目が)占めます。(バッグに入れている)スリクソンZX5ドライバーも顔の良さが気に入っていますね。そのあとに飛距離やコントロールできるかっていうところを見ます。

Q:見た目を重視しているというが、顔の好みは変わったりする?

松山:打ち手がスウィングをちょっと変えれば球筋が変わってきて、すると(顔の)好みもやっぱり変わってくるので。スウィングとの兼ね合いもあると思います。でも自分が「本当にこれだったら打ちやすい」ってまず思えないと、そのあとの性能も信じきれないので、僕は(クラブは)やっぱり見た目第一。そのあとで、いろいろ開発されている新技術を感じたいですね。

Q:それはドライバー選びに悩むアマチュアの方も同じ?

松山:僕は見た目第一でいった方が良いと思います。当然飛ぶドライバーを使いたいっていうのはあると思うんですけど、でも自分が「なんか嫌だな」と思いながら打つと良いスウィングもできないし、飛ばないと思うんですよ。見た目が良かったら多少(飛距離が)落ちるドライバーでも気持ち良く振り始めたら飛ぶと思うので。

Q:開発側としては、こだわりが強いと大変?

宮野:でも、今スリクソンドライバー使用者が今PGAツアーでちょっとずつ増えているのも、松山プロが厳しい目で意見をフィードバックしてくれていることもつながっていると思います。

松山:「(スリクソンZXドライバー)どう?(笑)」みたいな感じで、ほかの選手にも聞いたりしますね。

Q:自分のドライバーを他のプロに打ってもらった感想も、情報源になると。

松山:そうですね。まあ見た目が良かったら打ってくれるかもしれないし、嫌いだったら打たないと思いますし。何回か打ってくれる人もいます。

宮野:もはやツアーレップですよね。この場では言えないくらいのビッグネームの方にもすぐ打たせちゃうので。

クラブセッティングはどんな基準で変えている?

Q:コースマネジメントを考えるうえで、ギアの力を借りたいシーンはある?

宮野:よく、長いショートホールとかで明確に「○○ヤードキャリー打てるクラブ」が欲しいっていうリクエストは、急に大会週に来ますね。

松山:たしかにそれはあるかもしれないですね。それこそBMW選手権でドライバーを替えたときに、アイアンもZX7にしました。マッスルバックよりは少しやさしいモデルを入れて、打ちたい距離があったので。もちろん誰でもやっていることですけど、コースによってセッティングは考えていますね。アイアンにするかUTにするか、4番アイアンでも球が上がりやすいモデルにするか、とか。

Q:同じクラブで、というよりはクラブで打ち分ける?

松山:そうですね。本来は自分でコントロールしたいんですけど、自分の状態とかも含めて「今週はちょっと無理そうだから(別のモデルに)替えてみよう」というのはありますね。

ボール選びの基準は打音が第一

Q:松山選手はクラブはもちろん、ボールへのこだわりもすごいと聞きました。スリクソン商品開発部 ゴルフボール技術グループの神野一也氏から見て、どう?

スリクソン商品開発部 ゴルフボール技術グループ・神野一也氏(以下神野):松山プロはボールに対してもすごく繊細な感覚をお持ちで、一番プロが大事にされているのはパターの音なんですね。それに加えてフィーリングも維持したまま、アプローチのスピン量やドライバーのボールスピードをどう高めていくか、っていうのが勝負です。

Q:ではテストもまずパターから?

松山:そうですね。パッティングしたりリフティングして音を聞きます。室内で聞くときと、コースで聞く音って違うと思うので、どちらでもやっています。(僕の場合は)パターで3メートルを打った時の音がすごく大事ですね。

神野:松山プロのボールテストの際は絶対にパターから入って、ショートゲーム、ショットというふうに(番手が)上がっていく感じです。

Q:どんな音が好み?

松山:僕はちょっと硬い音が好きで。初めてマスターズに行ったときに使っていたボールがすごく硬いボールだったんです。当時はアマチュアで、新しいボールが出るたびにテストしてみて、でもやっぱり僕はパターで打った時に「パチン」という硬い打音が好きだったので、新しいモデルに替えられなかった。で、プロになってからそういった要望を出して。ちょうど2016年の「スリクソン ZスターXV」(発売は2017年2月)は一番音を重要視して開発して、パターでオッケーが出ていざコースで打ったらいきなりホールインワン。そこからずっと長く愛用しています。

画像: 松山の好みに合うよう打音を重視して開発されたスリクソン Zスターシリーズの2017年発売モデル。松山はZスターXV(写真右)を愛用しているという

松山の好みに合うよう打音を重視して開発されたスリクソン Zスターシリーズの2017年発売モデル。松山はZスターXV(写真右)を愛用しているという

Q:やはり音は大事?

松山:(モデルによって)違いますし、新しいボール(Zスターボールの2021年モデル)も色々テストしていますが、音から始まっていますね。

神野:一口に硬いボールといっても、もちろん(モデルによって)微妙に違います。その中でも音の高さ、音程といったところまで松山プロは聞き分けられていますね。

松山:一度とあるボールを打った時に、その音がめちゃくちゃ好きになっちゃって。それを元に「神野さん、この音です!」って言ったこともあります。もちろんそれって打感とかも含めての「音」だと思うので、実際に打たないとわからないことがすごい多いですね。

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