昨年は「メモリアルトーナメント」「BMW選手権」で勝利を挙げるなど終始安定した成績で世界ランク1位にまで上り詰め、2021年をダスティン・ジョンソンに次ぐ2位で迎えたスペインのジョン・ラーム。いまだメジャータイトルを持っていないのが不思議なほどの選手だが、そのスウィングの特徴は「ショートバックスウィング」だと石井は言う。
「彼の特徴はショートバックスウィング。バックスウィングが小さいことです。バックスウィングが小さい人は、軸を横ブレさせずにセンターに保ち、背中の回転で打っていく場合が多いですが、ラームもそうです。縦コック(手首を親指側に折る動き)を一切入れず、手のひら側に折る横コックを始動のときに入れたら、あとは体の回転と遠心力で非常にシンプルに打っています。シンプルだけに、すごくパワーが必要なスウィングとも言えます」(石井、以下同)
クラブをループさせたりすると、クラブにはトルクが働き、小さい力でも大きなパワーを引き出せる。ラームの場合、そのような外的な力に頼らない「ほぼワンプレーンのスウィング」をしているにも関わらず飛ばせるのは、天性の肉体のもたらすところと言えるかもしれない。
「素晴らしいのは、動きの順番が守られている点です。トップの位置からまずひざが動き、続いて骨盤、胸郭、左腕、シャフト、ヘッドの順に下りてきている。そのため、小さいトップながらしっかりとインパクトに向けてパワーを溜めることができています。小さいトップでヘッドが先にうごいてしまったら、これはもうまったく飛びませんから」
さて、そんなラームだが2021年の活躍はどうだろうか。
「ダスティン・ジョンソンとの一騎討ちを制した昨年のBMW選手権を見ても、勝負強さというか、メンタル面も強くなっていますよね。総合的に上手い、安定した技術もありますから、個人的には今年の活躍をすごく楽しみにしています」
ラームという名前といかつい体格からついたあだ名は「ランボー」。映画に出てくる不死身のキャラクターのような活躍を期待したい。