中村:さて、PGAツアーの2020年を振り返っていきましょうか。ブライソン・デシャンボーが飛距離アップに成功して全米オープンを制覇したり、マスターズが11月に延期になり、ダスティン・ジョンソンが悲願の初優勝を遂げたりしましたね。
中井:僕は、コリン・モリカワの登場に一番驚きました。
中村:コリンですか。全米プロを勝ちましたね。
中井:彼の出身大学のカリフォルニア大学バークレー校って世界トップレベルの大学なんですよ。そこを4年でちゃんと卒業して、ゴルフも上手くてプロ転向後いきなりメジャー。すごいですよ。
中村:頭が良くてゴルフが上手い。まさに文武両道ですよね。
中井:そして僕は、彼は人としての魅力はもちろん、選手としてもすごく魅力的だと思うんです。175センチ77キロで、体型的にも日本人が真似することのできるゴルフであの成績ですしね。
中村:ダスティン・ジョンソン、ロリー・マキロイとかっていうビッグネームに、モリカワとかマシュー・ウルフみたいな若手が割って入ってきて、そこに飛距離を武器に急激に成績を伸ばしたデシャンボーと、役者が揃っていますよね。
中井:ヒーローがいてヒール(悪役)がいて、相変わらずのスーパースターであるタイガーがいて……誰が上に来ても上手いし、面白い。スウィングも個性的ですしね。マシュー・ウルフのあの個性的なスウィングをコーチが直さない、っていうのがすごい。ひとりひとりにすごくストーリーがあります。
中村:デシャンボーの超左軸スウィングもそうですし、スウィングもみんなそれぞれ特徴がありますよね。DJのシャットフェースに掌屈もそうだし、ラームの超コンパクトスウィングもそうだし。
中井:僕もアメリカの大学でゴルフをしていましたが、スウィングのことに関してはなにも言われませんでした。みんな自由。
中村:今年は基本的にはスケジュール通りのシーズンになるんだと思いますけど、本命は?
中井:やっぱり最初に挙げたコリン・モリカワを大本命に挙げたいですね。ただ、デシャンボーがどうなるかっていうのは本当に気になるところです。
中村:デシャンボーは飛距離の基準を300ヤードから320ヤードに変えてしまった。そのデシャンボーが、オフを経て果たしてどんな姿で現れるかですよね。
中井:意外とスリムになってるかもしれません。プロ野球選手でも、筋トレし過ぎて体が大きくなりすぎて怪我したり成績が出なくて、ちょっと戻して上手くいく、なんてことがありますからね。可能性としてはちょっと戻ってるかも。
中村:もちろん、もっと巨大化してくるかもしれないですけどね(笑)。それと、48インチドライバーを実戦投入してくる可能性もゼロじゃない。
中井:長尺化は僕はちょっと疑問なんですよね。アメリカはパワーゲームだから、フィジカルをさらに強化してくる選手が増えるんじゃないかと思いますね。そんな中、コリン・モリカワみたいな正統派の面白いゴルフをする選手を応援したくなっちゃうんです。
中村:そして忘れちゃいけない松山英樹選手ですよね。彼はスリクソンのZX5ドライバーを使うようになったじゃないですか。いま海外ブランドのドライバーが人気のなかで、日本ブランドのドライバーでの活躍を期待したくなります。
中井:実際にとてもいいですしね、新しいスリクソンのクラブ。
中村:いずれにしても、今年のPGAツアーもセントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズからいきなり注目ですね。