2日間競技の初日、鮮やかなパープルのウェアで登場した“チーム・ウッズ”は20組中、注目度ナンバー1。史上最年少での出場にもチャーリーくんは臆することなく“プロっぽい”仕草をそこここに挟んで父を驚かすスーパープレーを連発した。
初日パー5の3番ホールでは残り175ヤードを3番ウッドでピンそば1メートル弱につけそれを真ん中から沈めて生涯初イーグル奪取に成功。
「息子のプレーに助けられたね」と10アンダー62をマークし6位タイとまずまずの位置を確保。赤x黒の勝負服で挑んだ2日目も同じスコアで20アンダーとしたが結果は7位。優勝したのは初日同組でプレーしたジャスティン・トーマス&マイク・トーマス(父親/クラブプロ)だった。
それでもタイガーは「ここに来た目的は楽しむこと。その目的は十分達成できた。言葉で表せないくらい素晴らしい体験だった。今日のことは生涯忘れない」と感無量。
スウィングもラインを読む姿もガッツポーズもまるでタイガーそのもの。そんなチャーリーくんがゴルフに真剣に取り組むようになったのはここ数年だ。2歳でテレビに初出演し父・アールさんから徹底的かつ軍隊的な英才教育を施されたタイガーとは違い、チャーリーくんは自主性を尊重されて育ってきた。ジュニアの試合には出場しているが今回のようにテレビ中継される公の場でのプレーははじめて。それでも物おじしない威風堂々たる勇姿はさすがタイガーの血を引くだけのことはある。
父が腰痛で試合に出られなかった頃、姉のサムさん(現在13歳)とチャーリーくんは父のことを「ユーチューバーゴルファー」だと思っていたのだとか。過去のビデオ映像は見たことがあるが、実際に父が活躍する姿を生で見たことはなかったからだ。
しかし2018年に腰痛を克服しツアーに復帰、最終戦のツアー選手権を制し、翌年にはあの劇的なマスターズでの復活優勝。それらの刺激的なシーンを目の前で目撃したチャーリーくんの思いは大きく変化した。父がこれほど有名なわけをはじめて実感し理解したのだ。
「チャーリーの(ゴルフ)センスはすごい。闘争心も持っている。でもまだ若いから今はただ楽しんで欲しい」と普段から交流のあるご近所さんトーマスがいえば、父も「ゴルフは楽しい。だから皆プレーする。チャーリーには心から楽しんでもらいたい」。
タイガーは自身の最近のゴルフの調子を聞かれると「そんなに(ゴルフに)時間を割いているわけじゃない。自分のことはどうでもいい。チャーリーが彼の人生の一瞬一瞬を心から楽しめているかだけが重要なんだ」と父親の顔になった。
チャーリーくんがプロになるのか? タイガーの跡を継ぐのか? そんなことは2人にとっていまは重要ではない。ゴルフを楽しみ、人生を謳歌せよ。それがウッズ家の家訓のようだ。