ブライソン・デシャンボーがキャリーで400ヤード飛ばそうとしている。パワーゴルフもここまできたかと思わされる昨今、果たして飛ばないと勝てないのか? それとも飛ばなくても勝てるのか? さまざまな角度から検証してみた。

日本ゴルフツアー選手権覇者の堀川未来夢は「パット・イズ・マネーといいますけど、いまはドライバー・イズ・マネー。パットだけではとても追いつけない」という。

「海外に行くと自分がドライバーで打った球をアイアンで超えていく選手がいる。米ツアーにいま挑戦するのはちょっと難しいなと思ってしまいます」。ツアーで1、2を争うポジティブな男でさえ行くのをためらってしまうのが現在のPGAツアーのようだ。

画像: 肉体改造の末、飛距離を手に入れたブライソン・デシャンボー(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

肉体改造の末、飛距離を手に入れたブライソン・デシャンボー(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

2019-2020年シーズン、同ツアーのドライビングディスタンスランキングでは322.1ヤードで1位のブライソン・デシャンボーから72位のルイス・ウーストハウゼンまでが平均300ヤード以上飛ばしており、20-21年シーズンに至っては実に103人が300ヤード以上をマーク。2010年に12人だった300ヤード超えがここ10年で9倍近く増えたのには驚かされる。

ひと昔前は飛ぶだけで勝てない選手が多かった。しかしデシャンボーが全米オープンを力わざでねじ伏せたように飛距離のアドバンテージを勝利に結び付ける選手も増えた。世界ランク1位のダスティン・ジョンソン然り。ジョン・ラームやローリー・マキロイもそうだ。

画像: フェニックスオープンを制したウェブ・シンプソン(写真は2019年の全米オープン 撮影/有原裕晶)

フェニックスオープンを制したウェブ・シンプソン(写真は2019年の全米オープン 撮影/有原裕晶)

それでもゴルフは飛ばしだけではないというデータもある。たとえば11月に行われたマスターズでは最終日に63歳のベルンハルト・ランガーがデシャンボーと同組で回り、ティショットで60ヤード前後置いていかれながらスコアはランガー71(29位タイ)、デシャンボー73(34位タイ)。ツアーの主役ともいえるマッドサイエンティストが63歳の後塵を拝したのだ。

またバミューダ選手権で優勝したブライアン・ゲイはドライビングディスタンス177位。RSMクラシックに勝ったロバート・ストライブの順位は200位以下。飛ばない選手もPGAツアーのチャンピオンに輝いている。

プロ転向3戦目のダンロップフェニックスで優勝した金谷拓実は2020年のPGAツアーでもっとも感動したのは「ウェイストマネジメントフェニックスオープンでウェブ・シンプソンがトニー・フィナウをプレーオフで下して優勝したこと」だという。

ツアー屈指の飛ばし屋フィナウがピンまで残り60ヤードなのにシンプソンは150ヤードを打たされる。100ヤード近い差をつけられながら最後は技とマネジメントで競り勝った飛ばないシンプソンのプレーに「感動した」というのだ。

ゴルフは球をいかに遠くに飛ばすかが勝負ではない。どれだけ少ないストロークでカップにボールを入れるかを競うゲーム。飛ばしはアドバンテージだが決してすべてではない。

画像: 地面と平行ドリル・完 youtu.be

地面と平行ドリル・完

youtu.be

This article is a sponsored article by
''.