今年のPGAツアー第2戦目は、ケビン・ナが逆転優勝を果たし、ツアー5勝目を飾った。この優勝によりフェデックスカップランキングは10位に、世界ランキングは23位に浮上。37歳の中堅は早くも来年の「セントリートーナメント・オブ・チャンピオンズ」への出場権を確保し、満面の笑みを浮かべた。
「ワイアラエCCは僕にとって優勝のチャンスのあるコース。こういうコースはツアーでもそんなに多くはないが、優勝できると思えるコースでこうして優勝できて最高の気分だ。(来年)マウイでスタートを切れるのは最高。早くも来年が待ち遠しいよ」
比較的穏やかな風が吹いた最終日のソニーオープンでは、先週に引き続き絶好調のホアキン・ニーマンやウェブ・シンプソン、クリス・カーク、マーク・リーシュマンらが軒並みスコアを伸ばし、終盤まで混戦模様を呈していた。
最終組のナが最終18番ホールのティに立った時、バーディを取らないとプレーオフにもつれ込むという状況にあったが、セカンドショットを5番ウッドでピンを目掛けて真っすぐ攻めると、グリーン奥にオーバー。だが、3打目のアプローチショットを約30センチにつけ、優勝を革新。ガッツポーズを繰り出した。
「(コーチの)ドリュー・ステッケルからいつも言われているが、トップで間を作り、クラブをインサイドから入れるように心がけたんだ。そうすることで(2打目は)シャフトがインサイドから降りてきて、高めのいいドローボールが打てた。(ちょっとオーバーして)ラフに入ったが、それでもライは良くてこれ以上ない場所にボールを運ぶことができたよ」
ナは今大会を過去2回、首や指の怪我のため欠場しているが、実は今年もあわや欠場と言う事態が起きていた。大会前の水曜日に肋骨に痛みを感じたのだ。だが、最近ナのチーム入りをしたトレーナーのコーネル・ドリッセン氏の施術によりことなきを得た。
「水曜日の朝、プロアマ前にウォーミングアップしていた時に1度強打したら、肋骨に違和感を感じたんだ。何が起きたかわからなかったよ。また欠場しなきゃいけないかな、と思った。でもトレーナーがすごく助けてくれて、翌日起きても何も痛みを感じなかった。彼がいなかったら、状況は全然違っていたよ」
彼は2018年の「ミリタリー・トリビュート・アット・ザ・グリーンブライヤー」で優勝して以来、これで4シーズン連続優勝を果たしている。若手からベテランまで強豪揃いのPGAツアーで毎年優勝することは容易なことではない。ツアーで毎年1勝以上挙げているのはナ以外に、世界ランク1位のダスティン・ジョンソン、2位のジョン・ラーム、3位のジャスティン・トーマスと昨年の「全米オープン」チャンピオンのブライソン・デシャンボーだけである。
「僕はもともと本当に安定感のあるプレーヤーだった。トップ10入りも予選通過も何度も果たしてきた。優勝はもちろん大事だけど、少し遠くにあるように感じていたんだ。(2011年に初優勝後)優勝できなかった頃は、その感覚も忘れてしまった。でも(2勝目の)グリーンブライヤーでの優勝でもっと勝ちたいと思うようになったんだ。それ以来、たぶんプレースタイルももっと積極的になった。2位でも3位でも構わない。ただもっと優勝することに集中するようになった。優勝できることは自分でもわかっているし、メンタルコントロールもうまくできるようになった。毎年優勝できればいいね」
ナの今年の目標のうち、「優勝」はすでに達成できたが、他にもやるべきことはたくさんある。世界ランク20位以内に入ること、メジャーで優勝争いをすること、フェデックスカップ最終戦で、トップ30しか出られない「ツアー選手権」に出場すること、そして「ライダーカップ」に出場することだ。彼は韓国生まれだが、国籍はアメリカ。アメリカ人として今年の「ライダーカップ」に出場することが最大の目標だと言う。
「僕はファイターだ。マッチプレーが得意で、パットもうまい。カギとなるパットを決められれば相手をやっつけることができるだろう。僕は(ライダーカップで)いい選手になれると思うし、チームの優勝に貢献できると思う」
今年の「ライダーカップ」の米国チームのキャプテンはスティーブ・ストリッカー。今大会で優勝することで、ストリッカーにも大きなアピールとなったことだろう。9月下旬にウィスコンシン州のウィスリングストレーツで開催されるが、ナの期待通りに初のチーム入りが果たせるかどうか。