SIM2はどう進化した?
SIMといえば、昨年のドライバー市場で大ヒットとなったドライバー。ニューモデルはその性能にさらに磨きをかけた、いわば正統進化版となっている。
進化したポイントはいくつかある。まずは大きくなったカーボンクラウンだ。これにより余剰重量をさらにとることができ、重心を最適化できる。ふたつめはフェースカップと呼ばれるボディ一体型フェースの採用。フェースとボディを溶接を行わずに一体化することで、溶接部のバリに重さをとられることなく、さらに反発性能も高められるという。
そして、ソールはフルカーボンとなった。クラウンのカーボン部分の増加も含めて、チタンに比べて比重の軽いカーボン化がさらに進んだことで、より重量を最適に配置することができるようになっている。
最後に、今回のキーテクノロジーとなるのがフォージドアルミニウムリングだ。アルミニウムでできた半円状の物体で、これとフェースカップを組み合わせ、ソールパーツとクラウンパーツをそれぞれ組み合わせることで、溶接なし、接着剤のみでドライバーを組み立てられる。
前述のようにこれにより余分な重量をとられることがないことで低重心化できるし、反発性能も落ちない。さらに、この金属パーツがあることで、クラウンとソールにカーボンを多用しながら、打球音も良くなるのだという。
設計上の工夫に加えて、製造上の工夫までが凝らされ、より高いパフォーマンスを出せるようになっているようだ。もちろん、イナーシャジェネレーターと呼ばれるソールにつけられた突起による高い空力性能も受け継がれている。フェース面の反発性能をギリギリまで高めるスピードインジェクション、曲がりを抑えるツイストフェースも継続されている。
SIM2の設計と特徴、スペックと価格
モデル別に見ていこう。まずはSIM2だ。形状がやや洋ナシ的になり、シャープになっている。重心はフェース寄りになっていて、浅・低重心でスピンの少ない強弾道タイプ。前作よりも慣性モーメントは大きくなり、フェース面も大きくなっているという。まだテスト中だとはいうが、世界ランク1位のダスティン・ジョンソンはこのモデルにスイッチしているようだ。
ヘッド体積は460CCでロフトは9度、10.5度の設定。純正シャフト「テンセイ シルバー TM50」の重さは約59グラム(Sフレックスの場合)で、硬さはS、SR、Rから選べる。カスタムシャフトは「ツアーAD HD-6」、「スピーダーエボリューションⅦ661」、「ディアマナ TB 60」から選ぶことができ、すべて60グラム台のSフレックスとなっている。価格は純正シャフト装着モデルが7万6000円(税抜)。カスタムシャフト装着モデルが9万4000円(税抜)。発売日は2月19日の予定だ。
SIM2マックスの設計と特徴、スペックと価格
続いてはSIM2マックスだが、こちらは直進安定性にフォーカスしたというモデル。やはり慣性モーメントが大きくなり、フェース面も大きくなっている。こちらもまだテスト中のようだが、昨年の全米プロ王者、コリン・モリカワがこのドライバーの使用を開始しているようだ。
ヘッド体積は460CCでロフトは9度、10.5度、12度の設定。純正シャフト「テンセイ ブルー TM50」の重さは約55グラム(Sフレックスの場合)で、硬さはS、SR、Rから選べる。カスタムシャフトのラインナップはSIM2と同じ。価格、発売日も同様だ。
SIM2マックスDの設計と特徴、スペックと価格
最後にSIM2マックスDだが、これはD=ドローを表し、ボールが上がりやすくつかまりが良いモデル。昨年、SIMマックスDというドローが打ちやすいモデルが追加モデルとして発売されたが、今回は「ドローモデル」が同時発表となった。スライサーが多いとされる日本のゴルファーには恩恵の大きそうなモデルだ。
ヘッド体積は460CCでロフトは9度、10.5度、12度の設定。純正シャフト「テンセイ ブルー TM50」の重さは約55グラム(Sフレックスの場合)で、硬さはS、SR、Rから選べる。カスタムシャフトのラインナップは用意されていない。価格は7万6000円(税抜)。発売日は2月19日の予定だ。
可変式ウェートがなくなり、モデルごとの特徴が鮮明に
見ての通り、ここ数世代当たり前のようにつけられていた移動式のウェートが、今回の3モデルには見当たらない。強弾道でスピンの少ないSIM2、直進安定性にフォーカスしたSIM2マックス、そしてボールが上がりやすく、つかまりの良いSIM2マックスDと、特徴が鮮明な3モデルを揃えたことで調整機能は不要と判断したようだ。
モデルごとにテクノロジーを積み重ねてきた近年のテーラーメイドのドライバー。選べるヘッドの選択肢がはじめから増えて、より多くのゴルファーが手に取りやすくなった印象だ。SIM2シリーズは前作に続いて大ヒットとなるのか、注目だ。