PGAツアー「ザ・アメリカンエキスプレス」でツアー通算3勝目を挙げたキム・シウと言えば、セカンドショット以降、ティアップされていないボールをドライバーで打つ、いわゆる直ドラを多用する選手としても知られている。この技をプロゴルファー・中村修が解説!

PGAツアー「ザ・アメリカンエキスプレス」を制したキム・シウと言えば、直ドラを多用することでも有名な選手。実際に過去のトーナメントでもフェアウェイのディボットにハマったボールや、カート道付近の左足上がりのライから見事に直ドラに成功させ、スコアに直結する1打を生み出している。

画像: 直ドラを多用するキム・シウ。いったいなぜキレイにボールを捉えられる?(写真/Getty Images)

直ドラを多用するキム・シウ。いったいなぜキレイにボールを捉えられる?(写真/Getty Images)

シウ本人も直ドラを武器としてとらえているようで、PGAツアー公式SNSが投稿した動画では「私は直ドラで有名ですけど、芝以外の場所からドライバーを打つのも楽しいですよ」とコメント。動画ではフェアウェイからでさえ難易度の高い直ドラを、バンカーやカート道、トランプの束の上など、様々な状況から鮮やかに打つ姿を披露した。

さらに地面に置かれたボールだけでなく、高く生い茂った雑草にハマり通常のティアップよりはるかに高い位置にあるボールに対してもキレイにアジャスト。しまいにはドライバーのトウ側を地面に着けるように構え、無理やりレフティのように打つも、(流石に短い振り幅ではあるが)難なくボールをとらえていた。

Instagram

www.instagram.com

シウの直ドラ動画を見て、「シウはプロでも避けるようなライからでも、しっかり直ドラを決めていますね」と話すのは、プロゴルファー・中村修。そもそも直ドラをする際の一番のポイントは「入射角をレベルにすること」だというが、その上でシウがこれだけキレイにボールをとらえられる理由を、中村はこう分析する。

「スウィング時のヘッドの最下点をコントロールする能力が非常に高いのだと思います。加えて、スウィング中に軸がブレない体の強さ、ブレのなさも不可欠です。とくに、スウィングのなかでインパクトをあくまでクラブの通過点としてとらえられているからこそ、直ドラでもレベルな入射角で打てるのでしょう」(中村、以下同)

加えて、シウ自身の恵まれた体格も役立っていると中村は言う。

「シウは身長約180.3センチ、手足も相応に長いです。するとそのぶんスウィングアークも大きくなって、14本の中で一番長いクラブであるドライバーでも入射角を浅くしやすいというのはあると思います」

直ドラの感覚を養うコツとしては「少しずつティを低くしていく練習をしてみると良いでしょう」と中村。

「そもそもドライバーをティアップするのは、ヘッドの最下点から少し先でインパクトし、アッパー軌道でボールを捉えたいからですが、直ドラの場合は入射角を浅くするために最下点付近でインパクトすることが求められます。通常時のティアップの高さから少しずつティを低くしていくことで、だんだんとアッパーに打てなくなっていき、自然と入射角をコントロールする感覚が養われていきますよ」

また、ヘッドを地面にペタッとくっつけず、浮かせて構えるのも、入射角を浅くするために効果があるという。

とはいえ、やはりプロにとっても難易度が高い直ドラをアマチュアが一朝一夕で行うのは難しい。「試しに練習場などでアイアンを打つときくらいの高さでティアップしたり、直接マットの上にボールを置くなどして打ってみれば難しさが体験できると思います」と中村。それでもシウがスプーンなどの他の番手を使わず直ドラを選択するのは「ドライバーのほうがメリットがある場合」だという。

「まず、単純にスプーンよりドライバーのほうが長いクラブですからヘッドスピードが上がり、飛距離が出るというメリットがあります。逆にデメリットは、ロフトが10度前後しかないためスライス回転がかかりやすく、またフェース下部でヒットしやすいのでスピン量も少なくなることです」

結果、「転がし」的なニュアンスで打っていくことが可能になる。直ドラでフックを打つのは難しいため“左を消せる”のもメリット。いずれにせよ、レイアップせずに積極的に狙う、シウのプレースタイルに合ったスゴ技なのは間違いがなさそうだ。

This article is a sponsored article by
''.