かねてよりクラブ、ボールなど用具の技術進化によって飛距離アップを続けるプロたちの現状に、ゴルフルールを統括するR&AとUSGAが、ついに用具規則の変更案を公開した。具体性を帯びてきた飛距離規制、プロはどう見ている? PGAツアー通算7勝のウェブ・シンプソンが海外メディアに対し見解を語った。

変更案の具体的な内容は下記の3つ。

【1】パター以外のクラブ長の上限を48インチから46インチへ短縮
【2】ゴルフボールのテスト方法の変更
【3】(クラブの)ペンデュラムテスト許容値の変更

クラブ長に関しては、昨年肉体改造によって大幅な飛距離アップを果たしたブライソン・デシャンボーが、さらなる飛距離アップの手段として48インチドライバーのテストに着手したことが話題に。

デシャンボーの飛距離アップを受けて、フィル・ミケルソンは47.5インチ、アダム・スコットも46.5インチドライバーを実戦投入。ビクトル・ホブランも長尺ドライバーのテストを実施し、欧州ツアーでは48インチドライバーを実戦投入したプロも現れるなど、長尺化は世界的に話題となったトピックでもある。

ドキュメントによれば、クラブ長の規制は高度なスキルを持つプロプレーヤー、あるいはトップアマの大会のみで適用されるローカルルールとしての採用を検討されているとのこと。

【2】と【3】に関しては、いずれも用具の適合性をチェックするための機械テストの基準を厳格化する案。前者はテストの際のボールの打ち出し条件が見直され、後者はクラブのスプリング効果(=反発性能)の適合基準を狭めることで、飛距離性能の進化に歯止めをかけることが狙いとなるだろう。

画像: 年々伸びていくプロたちのドライバー平均飛距離。これを受け、USGAとR&Aが用具規則の変更案を新たに発表した(撮影/松岡誠一郎)

年々伸びていくプロたちのドライバー平均飛距離。これを受け、USGAとR&Aが用具規則の変更案を新たに発表した(撮影/松岡誠一郎)

これらの提案に対して、海外メディアに対し持論を語ったのは、PGAツアー通算7勝のウェブ・シンプソンだ。

画像: 用具規則の変更案について、海外メディアに対し持論を述べたウェブ・シンプソン(写真は2019年の全米オープン 撮影/有原裕晶)

用具規則の変更案について、海外メディアに対し持論を述べたウェブ・シンプソン(写真は2019年の全米オープン 撮影/有原裕晶)

シンプソンは、ドッグレッグを増やし、フェアウェイを狭め、長いラフ、小さなグリーン……といったコースの工夫をすれば、用具規制をしなくてもいいという立場。また、身長が210センチを超えるようなゴルファーに長いクラブの使用を禁止してしまえば、体格による有利・不利が生じてしまうと危惧を述べる。

また、プロたちの飛距離アップに対抗するには、コースの総ヤーデージを伸ばすことではなく、コース設計での工夫が必要だという。たとえばオーガスタの13番パー5で飛距離アップ対策としてティイングエリアを後ろに下げる必要はなく、「ティイングエリアの前方20ヤード、左へ5フィートの位置に木を配置するだけでいい」と具体的に提言している。

用具の規制に頼らない飛距離アップ対策の可能性を示したシンプソン。繰り返しになるが、今回発表されたのはあくまで変更案のため、シンプソンらプロたちや各ツアー、メーカーのフィードバックを通じて、これら3つ案が採用されない可能性も十分考えられるだろう。

アマチュアゴルファーにも影響する可能性のある部分だけに、今後の動向にも注視が必要だ。

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