PGAツアー「ウェイスト・マネジメント フェニックスオープン」で、ブルックス・ケプカが1年半の沈黙を破り王者の座に返り咲いた。PGAツアー通算8勝目は5打差を逆転するド派手な復活優勝だった。

ケガの不調を乗り越え通算8勝目

「もう元のようなプレーはできないかもしれない。そう思って暗い場所に落ち込んだ時期もあった。この1年半は苦しかったしストレスが溜まった。それを乗り越えて勝てたことがなによりうれしい。自分を褒めてやりたい」とウェイストマネジメントフェニックスオープンで久々の勝利を掴んだケプカ。

直近の3試合はすべて予選落ちという不本意な成績。しかし「ゴルフの調子は上向いていた。あとはタイミングの問題だと思っていた」と前を向き挑んだ大会は3日目を終え首位と5打差。上のスコアが伸びれば勝機はなかったが最終日は上位が足踏み。その間隙を縫って“メジャーキラー”が牙を剥いた。

画像: ウェイストマネジメントフェニックスオープンを制したブルックス・ケプカ(写真/Getty Images)

ウェイストマネジメントフェニックスオープンを制したブルックス・ケプカ(写真/Getty Images)

中盤まで同じ組のジェイムス・ハーンがトーナメントを引っ張り後続は団子状態。しかしハーンが終盤崩れるなかケプカが13番から3連続バーディで首位に並びかけメジャー4勝の貫禄を見せつける。

圧巻は1オン可能な17番パー4。3番ウッドで放ったティショットはグリーン右手前へ。カップまでは残りおよそ30ヤード。迷わずウェッジを手にした彼は「グリーンエッジに落として転がそうと思った。ちょっと右にキックしていい感じに入ってくれた」と白球がカップに消える前にガッツポーズ。イーグルを奪い一気に2打のリードを奪った。

2017年から19年にかけメジャー4勝を挙げながら翌年から度重なるケガに苦しみ勝星から遠ざかった。「ケガの怖いところはメンタルをやられること。本当に治るのか? もとに戻るのか? 堂々巡りで不安が募った。でも周りの人に支えられてここに戻ってくることができた」。

完全復活が15年に初優勝を挙げたウェイストマネジメントだったこともなにかの縁。ツアーでもっともギャラリーが多い大会として知られるが、あまりに集客人数のことばかり注目されるためここ数年はギャラリー数を公表しない方針になった。今回名物16番パー3ではホールをぐるりと囲む3階建てのスタンドが1階建てに縮小されたが、コロナ禍の基準に照らし合わせ許される範囲で最大限のギャラリーを入れて開催された。

「ファンの声援が恋しかった。ギャラリーがいない試合は燃えない。ファンが応援してくれてこそベストのゴルフができる。でもこれからは無観客でも良いプレーができるように頑張らなくては」(ケプカ)

大会3日目にはケプカ以上に長いスランプに苦しんでいるジョーダン・スピースが10アンダー61をマークし3年近くご無沙汰していた54ホールのトーナメントリーダーの座に帰ってきた。結果は2打差の4位タイだったが大きな手応えを掴んだ。

陽射しに暖かさを感じるようになったこの季節。南から花の便りも聞こえてくる。ゴルフ界にも春がやってくる。

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