長身、細身、体脂肪率は5パーセント。まだジュニアにも見えるバティアは初日ペブルビーチGLをプレーしノーボギーの8アンダー64をマーク。2位タイの好発進を切った。
18ホールすべてグリーンを外さない抜群の安定感でパーオン率100パーセント。飛んで曲がらずパットを決めまくる完璧な内容だから好発進も頷ける。しかしシード権はなく主戦場はPGA傘下のマッケンジーツアー(カナダツアー)で今回は主催者推薦での出場だ。
カリフォルニア出身の19歳はアマチュア時代卓越した戦績を挙げ、2年前のウォーカーカップ(アマ版ライダーカップ)のメンバーに高校生でただひとり選ばれ、ジョーダン・スピースの最年少記録を塗り替えた直後に17歳でプロ転向。「大学に行くべきという意見があるのはわかっている。でもこれは僕が選んだこと」とイバラの道を選んだ。
そんな彼とフィル・ミケルソンはレフティ同士という以外にも共通点が。それはマネジメント会社が一緒ということ。ちょうど1年前の欧州ツアー、サウジインターナショナルで推薦をもらったバティアは、ミケルソンのプライベートジェットに同乗して中東へ。結果はミケルソンの3位タイに対してバティアは予選落ちに終わったが、レジェンドと行動をともにして夢のような時間を過ごしたようだ。
「すごく印象的だったのは毎晩ディナーのときに聞くフィル(ミケルソン)の話でした」
たとえばミケルソンがアリゾナ州立大学時代、試合の最終ホールで相手に1打リードされている状況のなかフェアウェイバンカーから池の上を大きく旋回させるカットボールを放ってグリーンをとらえイーグルを奪って逆転優勝した話。
あるいは91年アマチュアでプロの試合に勝ったツーソンオープンでは木の間を抜き、池を越えてチャンスにつけ後続を突き放した話など。
「ディナーだけじゃなく行き帰りの機内でも20時間一緒。刺激的だった。彼が考えていること、イマジネーションは想像を遥かに超えるものでした」
PGAツアーにはまだ主催者推薦でしか出場できない立場。だが昨年9月のセーフウェイオープンで9位タイに入り実力の片鱗を見せたバティア。今回どこまで粘って上位争いに絡めるか? それは神のみぞ知るだが縁の大きなメガネをかけた褐色の肌の青年の顔を覚えておいて損はなさそうだ。