キャロウェイの2021年最新ドライバーは、2年振りとなるエピックシリーズの最新モデルエピックスピード、エピックマックス、そしてエピックマックスLSの全3モデル。
エピックの代名詞ともいえるフェース裏側の“2本の柱”はAIによる設計で4本の梁状構造「ジェイルブレイクAIスピードフレーム」に進化。シリーズ前作の「エピックフラッシュ」で初搭載されたAI設計のフェースも2020年発売の「マーベリック」シリーズを経てブラッシュアップし、さらなる初速アップを実現しているというが、その性能はいかほどのものだろうか。プロゴルファー・中村修と堀口宜篤の2名に試打して確かめてもらおう。
試打スペックは、3モデルともロフト10.5度、それぞれ純正シャフトのSフレックスを装着して試打を行った。
ミスに強くて高初速。エピック マックス
まず試打するエピックマックスは、過去のエピックシリーズまでで言う“スター”に相当する性格付けがされたモデルで、慣性モーメントを最大級まで高め、低重心かつドローバイアス設計になっているという。
構えた印象から聞いてみると、「構えてみると投影面積は大きめ。見た目から安心感がありますね」と堀口。中村も「顔つきは前作のエピックフラッシュスターと同系統ですが、フェース面のバルジ(湾曲)はあまり多くなくて、ある程度ストレートに見えますね。非常にオーソドックスな形状です」と評価する。
両名にヘッドスピード約46m/s程度で試打してもらったデータをまとめると、飛距離は約290ヤード前後。スピン量は約2200回転と低スピンかつ、打ち出し角約14m/sと高弾道という結果に。
「自然とつかまえてくれてオートマチックに打てる感じでした。ある程度芯を外しても初速が出てくれていて、やさしさも持っているドライバーと言えるのではないでしょうか」(堀口)
中村は初速性能の高さを評価。「ヘッドスピード約46m/sに対してボール初速が約68m/s出ています。低スピン・高弾道のやさしくつかまえられるドライバーと言って良いでしょう」と語る。
打感については「弾き感はエピックフラッシュシリーズ以上に強い気がします。でも、弾くんですけど硬いというわけではないんですよね」と堀口。中村も「前作のエピックフラッシュシリーズと比べて柔らかめで、だいぶ印象が変わった」という。
「最新モデルでは弾き感は増しつつも打感は柔らかめ。打音で比べても、甲高さがあった前作より落ち着いた感じの響きになっていますね」(中村)
スピンが少なく操作性が高いエピックスピード
続いて試打するエピックスピードは、前作までで言う“サブゼロ”にあたる性格付けがされたモデル。浅重心で低スピン性能が高いという点も共通している。
プロの使用も想定されているモデルのためか「ヘッド体積は3モデルとも460ccなんですが、スピードは一番シャープに見えますね」と堀口。中村も「やや小ぶりに見えますが、クセのない良い顔です」という。
両者の試打結果をまとめると、飛距離はマックス同様290ヤード前後。打ち出し角は約12.5度ほどの中~高弾道となっており、スピン量は2000回転を下回る結果も多く見られた。
弾道については「つかまりが良いマックスと比べるとニュートラル。ドロー・フェードの打ち分けもしやすいです」と操作性を評価した中村。
「弾きの強さによる初速性能の高さはマックス同様に感じますが、打感は比較的柔らかめですね。ボールに吸い付く感じが強く出ています。AIフェースはモデルごとに厚みを設計が異なっているので、その差が出ていますね。コンパクトな見た目で振り抜きやすいのも良い点です」(堀口)
強烈な低スピン! ハマる人にはすごそうなエピックマックスLS
最後はエピックマックスLS。名に “LS=ロースピン”と付く通り、エピックマックスの低スピン仕様モデルとなっている。投影面積の大きさや高慣性モーメントによるやさしさと、低スピン性能を併せ持った新機軸のモデルというわけだ。
フェードバイアス設計で、やさしく飛ばしたい上級者やプロ向けのモデルという位置づけとなっているマックスLS。見た目の印象は「フェースのストレート度合いやクラウンの大きさを見ても、見た目的にはエピックマックスに近い」と堀口。
だが、試打結果はマックスとは異なる結果が出た。とくにスピン量に関してはスピードに匹敵、あるいはそれ以上のポテンシャルを持ち、約1600~1700回転前後の結果を連発。一番低い数値で約1400回転を叩き出し、プロ2人も「前作から2年でここまで進化しているとは」と驚きを見せる。
試打結果ではストレート系の弾道が多く出て、かつ「球が強めです」と中村。一方ボールの高さは中弾道とほか2モデルと比べてやや低めという結果に。低スピン性能が高いぶん「打ち出しの高さはある程度自分で作り出せるのが望ましいでしょう」と中村は言う。
「また、低スピン性能が高すぎるがゆえの懸念点もあります。私の場合はもともとスピンが多めにかかるタイプなので、それが激減して良い効果が得られましたが、もともとのスピン量が少なめの方はドロップの危険性もあり得ます。類を見ない強みを持ったドライバーではありますが、しっかり試打して相性を確かめたうえでの購入をオススメします」(中村)
全3モデルの試打を終えたプロ2人の評価を改めてまとめてみると、マックスはつかまりが良くオートマチックにドローが打てるモデル。スピードは低スピンかつドロー・フェードの打ち分けもできる操作性を併せ持つモデル。そしてマックススピードは上級者がやさしく超低スピンで強いボールが打てるモデル、と言ったところだろうか。
エピックスピードのソール後方のウェートは固定されているのに対し、マックスとマックスLSは可変ウェートである程度の弾道調整ができるという点も、ドライバー選びの際のポイントになるだろう。
エピックシリーズと同日発売のテーラーメイド「SIM2」シリーズも含め、ニュークラブラッシュが続くゴルフ業界。どのモデルも目移りするほどの性能を持っているが、試打する機会があればプロたちの意見を参考にしてみてほしい。
取材協力/PGST