PGAツアーで活躍するチリ出身の22歳、ホアキン・ニーマンが大きな目標を一つ達成した。難病に苦しむいとこが必要とする特効薬の費用約2億2000万円が集まり、無事投与。ひとまず佳境を越えたのだ。家族に降りかかった苦難に、共に立ち向かったニーマンは今何を思うのか。海外取材経験20年のゴルフエディター・大泉英子がレポート。

1月のハワイでの2試合で、2週連続2位に入った絶好調男、ホアキン・ニーマン。4週間のオフを母国チリで過ごした後、「ジェネシス・インビテーショナル」で再びツアーに戻ってきた。

予選ラウンドを終え、2位タイにつけていた彼だが、最終日は1イーグル、2バーディ、5ボギーと出入りの激しいプレーでスコアを落とし、43位タイで大会を終了。待望のツアー2勝目はお預けとなったが、彼はツアー2勝目よりももっと大きく価値ある目標を最近達成し、喜びと安堵に浸っている。従兄弟を難病から救うために始めた2億円超の寄附金集めが、先日無事に終了し、たった1回の接種で210万ドル(約2億2000万円)するという高額の特効薬を投与することに成功したのだ。

画像: PGAツアーで戦う22歳の若手、ホアキン・ニーマン(写真は2021年のソニーオープンinハワイ 札亭/増田高寛)

PGAツアーで戦う22歳の若手、ホアキン・ニーマン(写真は2021年のソニーオープンinハワイ 札亭/増田高寛)

「ラフィタがーー実際は彼の父親(フェリペさん。ニーマンの母親の兄弟)が、210万ドルを手に入れ、数週間前に薬を購入したんだ。父親がアメリカで薬を購入し、チリに持ち帰って、数日前にラフィタに接種。よかったよ!」

昨年の10月下旬、従兄弟のラフィタ・カルデロンちゃんが誕生したが、生後まもなく脊髄性筋萎縮症と診断された。この病気は10万人に8.5〜10.3人が発症すると言われている難病で、根本的な治療法は確立されていない。自力では栄養摂取や呼吸が困難で、乳児の死亡で最多の遺伝的病因の一つと言われている。

この病気の治療法として投薬という選択肢もあるが、1回の接種になんと約2億円超かかるのだ。フェリペさんもニーマンも最初はかなり落ち込んでいたが、ニーマンは、その薬を手に入れるためにあらゆる手段を駆使して寄付を募り、なんとかラフィタを助けようという前向きな気持ちに切り替えた。

「僕はフェリペと一緒に生まれ育ってきたし、彼には何度も助けてもらった。ゴルフの試合にも観にきてくれたこともあったよ。すごく身近な関係なんだ。そんな彼にラフィタが重度の病気を持って生まれ、僕たちはみんなで涙を流した。フェリペはすごくネガティブだったけど、僕はなんとか彼にもっと前向きな気持ちになってもらおうと、アメリカでのコネクションやSNSなどをいろいろ駆使して助けようと思った」

そう思い立った彼は、早速「RSMクラシック」から寄付金を募る活動を始め、自分自身も「RSMクラシック」と「マヤコバゴルフクラシック」で稼いだ賞金全額に1イーグルにつき1万ドル(約105万円)、1バーディにつき5000ドル(約53万円)を寄付。ツアーや選手仲間、自分のスポンサーなどにも声をかけた結果、たった3ヶ月ほどのクラウドファンディングで2億円超を集めることに成功した。

「ツアーやたくさんの人々、たくさんの企業の皆さんのおかげで、こんなに短期間でこれほどの大金を集めることができるなんて……。ラフィタは投薬されて以来、いい感じのようだ。写真を送ってくれているのを見る限り、力強く、ハッピーになっている。今はもう退院し、自宅で過ごしているんだ」

ひとまず寄附金集めは終了し、ホッと胸を撫で下ろしているニーマン。だが、1回の接種で完治するわけではなく、今後もラフィタの難病との戦いは続くという。だが、今後ももちろんニーマンはかわいい従兄弟の命を救うため、引き続き支援を続けていく。

「今後も彼には出来る限りのことをしていきたい。そして僕の試合を観にきて欲しいんだ。それが僕の夢の一つ。そうなったらいいね」

 

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