新製品が出揃ってくる時期は、練習場で試打会が開催されることも増えてきますよね。新しいドライバーをいろいろ試すことができて、とても楽しいものです。私も、ちょくちょく参加しています。ただ、実は試打会にはちょっとしたリスクも潜んでいるんです。なにか? スウィングを壊してしまうリスクです。
まず前提として、試打会に並んでいる多くのクラブのほとんどすべては自分に「合わない」クラブです。みなさんのお使いのクラブは、たくさんある選択肢のなかから「これだ!」と選んだものですよね。なかには5年、10年と同じクラブを使い続けている人もいるはずです。これを逆の視点から見れば「これだ!」と選んだ1本以外のクラブは、ほぼ合わないということになる。つまり、試打会とは基本的に自分に合わないクラブを打つ場とも言えるんです。
よく、試打会なのにめちゃくちゃ力んでスウィングしている人がいますが、それもクラブが合ってない可能性が高い。後ろではショップの人やメーカーの人が見ているから、なんとかいいところを見せたいと一生懸命打つんだけど、結果が出ない。焦りからさらにミスが連鎖する……こうして、試打会が終わって自分の打席に戻ってみると、さっきまで打てたはずのクラブがさっぱり当たらなくなっている、なんてことがあるのです。
でも試打会はやっぱり楽しいですし、それこそ運命の1本的なクラブと出会える場でもある。だからこそ私は、たとえば自分の使っているクラブよりもつかまるクラブを5球打ったら5球引っかけを打ちます。打ちますというか、引っかけになるのが当然なんですね。それで打つと真っすぐ飛ぶクラブより左に曲がりやすいクラブを同じ人間が打っているわけですから。それで、「ぼくにはつかまりすぎるみたいです」と正直に伝えます。そうすれば自分のスウィングが乱れることはありませんから。
そこからさらに一歩進んだ上級編としては、「合わないクラブをあえて合わせる」というテクニックもあります。試出したのがつかまるクラブだったらあえて逃してみる。ヘッドスピードに対して軽いクラブだったら、あえてヘッドスピードを落として振ってみる。こうすると、クラブごとの特徴が把握できるだけでなく、ボールコントロールの技も磨かれます。
コースではいつも練習場と同じようには振れませんし、日によっては球筋も違います。季節や自分の状態によって、合うはずのクラブが合わないと感じる日だってありますよね。そういうときに、試打会で調整力を磨いておくと役に立ったりするんです。今日はボールがつかまりすぎるから、少し逃して打とう、みたいなことができるようになる。すると、コース攻略の幅が広がります。
このように、試打会にはリスクもあれば、技術の幅を広げるチャンスもある。それらを頭の片隅において、ぜひ積極的に参加してみてはいかがでしょうか。