ロフトが立っているからこそ下の番手のラインナップも豊富
ロフトを立たせて飛距離性能を上げた、いわゆる“飛び系”アイアンは昨今珍しくなくなりました。今や各メーカーが取り扱っていますし、飛び系と一口に言っても飛距離・直進性を追求した“ぶっ飛び系”もあれば、ある程度操作も可能だけどアスリート向けアイアンよりはやさしく飛ばせるといった特徴を持つモデルまであったりと、幅も広いです。
で、今回はそんなぶっ飛び系アイアンセットの「下の番手」に関するお話。ぶっ飛び系というとミドル~ショートアイアンのロフト設定に注目しがちですが、ピッチングウェッジ(PW)以下の番手ラインナップも豊富なんですよね。
たとえば昨年12月に発売されたゼクシオクロス(7番でロフト角25度!)はPW、AW、DW、SWの4本構成。ちなみにDWという番手、僕は聞き馴染みがなかったのですが、アプローチウェッジ(AW)とサンドウェッジ(SW)の中間にあたる「デュアルウェッジ」の略称だそうです。アプローチサンド(AS)なんて呼ばれたりもする番手ですね。
この下の番手を厚くする傾向はゼクシオクロスに限らずぶっ飛び系アイアンに共通して言えて、同じく7番でロフト25度のぶっ飛び系アイアン、プロギア「ニューエッグ」、ヤマハ「インプレスUD+2」もPW、AW、AS、SWの4本体制です。
一昔前ならアイアン1モデルにSWまでラインナップされているのは普通のことでしたが、現在はPW以降のウェッジは単品で買い足すのが主流。単品ウェッジとの兼ね合いを意識してなのか、PWがもっとも寝ている番手、というモデルは多いですよね。あってもAW、SWを含めた3本で、ウェッジを4本ラインナップしたモデルはそうそうありません。
ぶっ飛び系アイアンの下の番手が豊富なのは番手間の流れを整えるためでしょうね。PWも当然ストロングロフトになっていて、ゼクシオクロスで言えばPWで37度。これは同じくダンロップのアスリート向けモデル「スリクソンZX7」では8番(36度)に相当するロフトで、極端な比較ですが2番手も変わってきますからね。
一方単品ウェッジはもっとも立っている設定でも46度からというケースが多いですので、もし飛び系アイアンがPWまでのラインナップだとしたらかなり番手間に大きなギャップが生まれてしまいます。いかにアイアンがやさしくぶっ飛ばせても、ショートゲームがガタガタになってしまっては元も子もないですよね。それを解消するためにウェッジが4本もラインナップされているわけです。
もちろん単品ウェッジを入れずにラインナップ通りウェッジを4本採用すれば、番手間の流れがスムーズになり距離ごとにオートマチックに打てるようになるでしょう。ただ、構えた見た目やソール形状の好みはゴルファーごとにそれぞれですから、単品ウェッジを併せて採用したいという方もいらっしゃると思います。
もちろん単品ウェッジ採用も大いにアリ。ただしその場合でもアイアンセットのAWまでは採用しておきたいところです。ロフトが立ったPWの流れを汲んだAWを採用しないと、番手間のギャップが大きくなってしまいますからね。
AW以降のロフト間隔は、自身のアプローチの腕前によって決めるのがオススメです。アプローチが苦手な方なら4度刻みでAWの上に2~3本追加して下を厚くするのも良し。逆に、飛距離は落ちてきたけどショートゲームの小技は得意だよという方なら6度刻みと間隔を空けて本数を減らし、フェアウェイウッドやユーティリティなど上の番手を充実させることもできます。もし明確に打ちやすさを感じているモデル・ロフト角があるなら、それを軸に調整するのも良いでしょう。
ぶっ飛び系アイアンを使っている、もしくは購入を検討しているという方がいたら、ぜひウェッジの構成も一緒に考えてみてくださいね。