打ち比べれば素人でも違いがわかる! 合ってるシャフトはこんなに振りやすい!
こんにちは、ゴルフライターのSと申します。ゴルフ専門誌を中心にレッスンやギアの記事を執筆しているフリーランスのライターです。
今回、私がフィッティングを受けてドライバーを購入する顛末を、「みんゴル」に記事として取り上げてもらうことになりました。
しかし記事にする以上、ゴルフライターとはいえ一介のアマチュアがフィッティングを受けて「これが飛んだ」とか「これが気に入った」という記事では面白みがありません。
内容はガチンコ。忖度一切ナシで、よかったクラブを自腹で購入するというのが今回の企画の条件です。コースで使うことを前提に、自腹を切って買うクラブはこうやって選ぶ、という過程をお見せしたいと思います。
実はゴルフの仕事をしているにも関わらず、私のドライバーは3世代前のテーラーメイド「M3」のまま。これまでさまざまなドライバーを試打する機会を得つつも、お気に入りの「M3」を買い替えるに至らず足踏みしていたのですが、どうやら今年のニューモデルは面白そう。今年こそ買い換えの好機とにらんだわけです。
お目当てはテーラーメイドの「SIM2」シリーズか、キャロウェイの「EPIC」シリーズ。取材などで打たせてもらっても甲乙つけがたくどちらがいいか決めかねていたので、白黒ハッキリさせるためにフィッティングを受けようと相成ったわけです。
訪れたのは、東京・代官山にある「プレミアムゴルフスタジオ」。フィッターはCOOの吉田智さん。YouTube等でも活躍中の腕利きフィッターとして業界では知る人ぞ知る存在ですが、自身300Yを越えるビッグヒッターで、ゴルフの腕前も準プロ級。しかもSとはゴルフ仲間でスウィングのクセも知っているという鉄板フィッターです。
早速フィッティングを開始しますが、プレミアムゴルフスタジオでは、クラブをイチからフィッティングする際はまずシャフト選びから始めるのが基本だそうです。
Sのシャフトは、フジクラの「スピーダー661エボリューションTS(S)」。お気に入りのシャフトですが実はすでに販売終了しており、このシャフトをどうするかも大きな課題だったのです。前回ドライバーを「M2」から「M3」に換えた際は、同じテーラーメイド同士でスリーブが同じなのでこのシャフトを流用できることが大きな動機でしたが、今回はシャフトも刷新する予定だったので、シャフト選びも気合いが入ります。
まず吉田さんが用意した数本のシャフトを、試打用の「SIM」のヘッドに装着して2球ずつ打っていきます。素振りは禁止。何も考えずに打ってどんな球が出るか、そのときどんなフィーリングだったかを問診されます。
最初に打ったのは三菱ケミカルの「ディアマナTB6(S)」。スペック的には中元調子ですが、手元側の動きが比較的大きいシャフトです。そして手元側がしっかりしている中調子のグラファイトデザイン「ツアーAD HB-6(S)」、先調子のフジクラ「プラチナムスピーダー6(S)」、中元調子ですがしっかりしていて暴れないフジクラの「ベンタスブルー6(S)」。
思いつきでシャフトを選んでいるようで、私のエースシャフト「TS」をベースとして判断基準となりそうな特徴のあるシャフトを次々と打たせて、弾道の変化やフィーリングをチェックしていく吉田さん。とくに重視するのは「気持ちよく切り返せているかどうか」だそうです。
私は平均スコア90そこそこのアベレージゴルファー。取材経験は豊富で知識はあるので、スペックなどを念頭に置いて取材では「気持ちよく振れました」とか「なるほど、先が走りますね」くらいのコメントはできますが、実際にそのシャフトが「どうだったか」「どんな特徴があるか」の絶対的な評価などできないのが実情です。
しかしこれだけ個性のあるシャフトを打ち比べると、「こっちのほうが振りやすい」「これは気持ちいい」などという相対的な印象はわかります。この中では最初に打った「ディアマナTB」が気持ちよく切り返せました。
ここまでの試打で吉田さんは「どうやら動く(しなり量の大きい)シャフトが好きそう」という判断を下したそうです。
「手元がやわらかくないと切り返しのタイミングが取れないタイプですね。手元が硬くしなり戻りが速いシャフトは気持ち悪く感じて、上体が突っ込みます。(いま使っているTSだとしなり戻りが速いので)ときどきテンプラ打ってますもんね(笑)」と吉田さん。
私のスウィングや過去のシャフト遍歴の一部を知っている吉田さんは、打つ前からある程度の目星は立てていたそうで、さすがの見立てです。気づいていたなら早く教えてほしかった、と思わないではありませんが……。
次に用意されたのが、USTマミヤの「アッタスダァーッス6(S)」、三菱ケミカルの「テンセイプロホワイト1K6(S)」、「ディアマナDリミテッド6(S)」、グラファイトデザインの「ツアーAD XC-6(S)」の4本。
比較的しなり量が大きく、手元がやわらかめか先端剛性の高いシャフトを選んでくれた結果、振ってみるとどれもフィーリングがよく、自分の感覚ではほとんど甲乙つけがたい感じです。
ここからは打球のデータを見たり、吉田さんの目でタイミングのよさを見極めるなどしながら「これは違うかな」「これはよさそう」と絞っていきます。
ちなみにここまで試打したものが全部60グラム台のSシャフトだったので、個人的にはフレックス違いや重さ違い、「軽硬」なども試してみたいのに……などと思いましたが、吉田さん曰く「Sさんは、軽めのシャフトは切り返しで待てなくてタイミングが取れなくなるのでダメです」だそうで、50グラム台は却下でした。なるほど、流行りなどに流されず、自分のスウィングの特徴をちゃんと見極めることは大事ですね。
そして「テンセイプロホワイト1K6(S)」「ディアマナDリミテッド6(S)」、「ツアーAD XC-6(S)」の3本が最終候補に。これらを再度打ち比べて、フィーリング、弾道、タイミングなどを再確認します。
そしてベストワンに選ばれたのは「ツアーAD XC-6(S)」。切り返しが気持ちよくスムーズで、タイミングを取りやすく、ちょっとがんばって振っても引っかけが出ない。基本的にフェードが打ちたくて、ミスするなら左より右がいいという点にもマッチしています。
現在のエース「TS」が自分にマッチしているという思い込みから(実際に購入時にはほかと比べても最高に感じたんです)、新しいシャフト選びを真剣にしてこなかったこの3年間をちょっと後悔するとともに、新たな学びも多く、非常に充実したシャフトフィッティングでした。
やはり専門家にしっかりとフィッティングしてもらうと安心ですし、ベストマッチのシャフトが見つかれば、しばらくは安心してクラブ選びができます。そして次のシャフトを選ぶ際にも不動の基準ができる。素人でも「振り心地」の違いを体感でき、それが結果に現れることも実感できる。まだシャフトフィッティングを受けたことがない人は、ぜひ体験してみるべきですね。
私的にはすでに満足感が漂い始めていますが(笑)、今回選んだシャフトをベースに、今度はヘッド選びに移ります。
その様子は次回お届けします。お楽しみに!
※次回のヘッド編は2021年3月19日11時30分公開予定
取材協力/プレミアムゴルフスタジオ