「自信を持ってプレーできれば結果も変わるはず」。アマチュアゴルファーがプロのように自信を持ったプレーをするにはどうすればいいのか? プロも教えるメンタルコーチ・池努に自信を持つコツを教えてもらおう。
自己効力感=自信を高めるためには?
あなたは自信を持ってゴルフをすることができていますか? 多くの競技ゴルファーからの相談で「試合に自信を持ってのぞめてない。自信を持ってプレーしたい」という悩みは本当に多いです。
最近、なかなか結果がでない…。
プロテストなど特定の試合でどうしても不安になる…。
このように過去の結果から自信を持てなくなることは真剣に競技に取り組まれている人ほど感じることではないでしょうか? この記事を読んでいる方の中にも「コンペや試合、レベルの高い人たちとラウンドするときに自信がなくてパフォーマンスが低下している気がする」という方もいらっしゃるかと思います。
自信は心理学用語で「自己効力感」という言葉に置き換えることができます。自己効力感という言葉自体は聞いたことがある方も多いと思いますが、カナダの心理学者アルバート・バンデューラによって提唱された概念で、人がある課題に対して行動や結果を必要とされる状況で「自分は必要な行動をとれる、成果をあげられる」と思える認識のことを言います。
シンプルに言うと「自分ならできる」「自分には達成する力がある」という感覚のことです。この感覚のことが一般的には自信と呼ばれているかと思います。「自分には難しいかも」「自分には力がない」と考え、行動できない場合は自己効力感が低い状態にあるということになります。
ゴルフの状況にたとえると、難しいコースにチャレンジする機会やレベルの高いゴルファーに囲まれてプレーをするときに「自分なら攻略できる」「今日も自分のゴルフができるはず」「難しいかもしれないがチャレンジできる」と思える場合は自己効力感が高い証拠です。
では、どうすればその自己効力感を高めることできるか、または高い状態をキープすることができるのかについて実践的なポイントをひとつご紹介していきます。
小さい成功体験を積み重ねる
80台のスコアを出すための自信がほしいという方は「80台のスコアを出した」という成功体験が手に入れば自己効力感は高まります。しかし、簡単にその大きな成功体験は手に入りませんね。
そこで、トータルで90台のスコアだったとしても、「前半は44で回れた」「後半は43でプレーできた」というような結果を「自分はハーフを45未満で回れる力があるから、80台も今後可能だ」と成功体験としてとらえていきます。
これは賛否両論ある考え方ですが、自己効力感を高めたいのであれば自分の能力や結果に対して都合よくとらえる側面も重要になってきます。
プロゴルファーをサポートする場合でも、優勝争いをしていて最終的には1打差や2打差で優勝できなかった選手は「自分はまだ勝者にはふさわしくないんだ」ととらえる傾向があります。しかし、逆の側面で観ていくと3日間、4日間の試合で優勝者に対して1打差、2打差の結果を出せたことを、ある意味では「自分も勝者にふさわしい」と成功体験としてとらえたほうが「次は勝てる」という自己効力感につながるのです。
このように最終結果だけが成功体験ではなく、ある一部分でも「できた」という体験があればそれをしっかりと成功体験として自分で認めていくことは自己効力感を高める上でとても重要です。
ただし、謙虚さという価値観を大事にしている日本人としては「勝っていないのに勝ちにふさわしい部分だけ認める」ということに違和感がある方も多いのは事実です。しかし、もし自己効力感を高め、欲しい成果を出すことに繋げていきたい方は「小さい成功体験」を積み上げることは大きなヒントになると思います。
ぜひ、参考にしてもらえれば幸いです。