PGAツアー「コラレス・プンタカナリゾート&クラブ選手権」を制したジョエル・ダーメン。2010年のプロ入りから11年越しの初優勝は、周囲の助けがあってこそだったとダーメンは語る。海外取材経験20年のゴルフエディター・大泉英子がレポート。

先週は、世界のトップランカーたちが集結する「WGC・デルテクノロジーズ・マッチプレー」がヒューストンで開催され、ビリー・ホーシェルの優勝で幕を閉じたが、同州にはドミニカ共和国で「コラレス・プンタカナリゾート&クラブ選手権」が開催され、2010年にプロ入りしたジョエル・ダーメンがツアー初優勝を飾った。

この優勝により、フェデックスカップランキングは126位から59位に浮上。2022〜23年シーズンまでのシード権と、今年の「全米プロ」「メモリアルトーナメント」、来年の「セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ」「プレーヤーズ選手権」などの出場権を獲得した。

画像: コラレス・プンタカナリゾート&クラブ選手権を制したジョエル・ダーメン(写真/Getty Images)

コラレス・プンタカナリゾート&クラブ選手権を制したジョエル・ダーメン(写真/Getty Images)

「最後のパットが入った時、思わず感情がこみ上げてきたよ。キャディのジェノとハグし、妻は僕の方に走ってきた。これこそ僕たちプロゴルファーが夢見ているものだろ?」

彼は2010年にプロ入りしたが、翌年に精巣腫瘍であることが発覚。だが治療は成功し、完全回復を遂げた。その後、マッケンジーツアーPGAツアー・カナダで戦い、2014年には賞金王にも輝いた。その間、妻のロナ夫人と結婚し、苦楽をともにする。

彼がミニツアーでプレーしていた頃は資金繰りに苦しんだが、妻は夫の夢をかなえるために自分の夢を諦め、2つの仕事をこなして生活を支えてくれたという。また、キャディのジェノとは幼なじみで、他の誰もダーメンの実力を信じていない頃から、ずっと彼を支え続けてきた女房役だ。ダーメン以上に彼のショットの1打1打に気を配り、ダーメンを信じて人生をかけた人物である。

また、以上の2人の他に、ダーメンにとって大事なチームの一員が他にもいる。コーチのロブ・ラシェル氏とトレーナーのエド・ボルツ氏だ。

「自分の周囲にいる人たちは、決して大勢ではないが、みんな一人一人が特別で、役割がある。小さい輪だが、よくまとまっている。ゴルフは個人スポーツだけど、高いレベルでプレーするには、人の助けも必要なんだ」

もともと彼はショットメーカーで、予選落ちもあまりしないステディなプレーヤー。だが、今年に入って8試合中6試合で予選落ち。1試合は60位タイに沈み、もう1試合は今大会での優勝である。ゴルフというスポーツでは、絶不調の選手が突然優勝することもあるが、ダーメンの場合も、自身が語っているように「とても信じられない」出来事が起きたのだ。

「今週はとても心が穏やかで静かだった。トーナメントで優勝することはとても難しいことだけど、実際いかに難しいか、ということがわかったよ。今週は自分がコントロールされているような感じだったけど、まるで自分の体の動きではないみたいだった」

なお、今大会は今シーズン2回目の開催で、1回目は9月下旬に行われ、ハドソン・スワフォードが優勝。PGAツアーの70年間の歴史の中で、初めての出来事である。これは、昨年から流行している「新型コロナウイルス」の影響を受け、ツアー日程が大幅に変更されたため。今大会の他、「マスターズ」、「全米オープン」の全3試合が、前代未聞の「1シーズン2回開催」となっている。

今大会はいわゆるWGCの「裏試合」的なものとして位置付けられており、優勝賞金額もWGCイベントの約2億円に対し、今大会は約6000万円と3分の1である。だが、出場選手の中にはグレアム・マクドウェルやダニー・ウィレット、デービス・ラブⅢなどのメジャーチャンピオンや、小平智、チャールズ・ハウエルⅢ、ルーク・ドナルドなど数多くの有名実力派プロも多く出場している。優勝しても「マスターズ」の出場権は得られないが、次へのステップへ進むために大きな自信となったはずだ。

画像: 【激スピン実現】アプローチの達人・伊澤秀憲が、元サッカー日本代表・鈴木啓太に授けたスピンショットの基本 youtu.be

【激スピン実現】アプローチの達人・伊澤秀憲が、元サッカー日本代表・鈴木啓太に授けたスピンショットの基本

youtu.be

This article is a sponsored article by
''.