フェースの芯でボールをとらえ「重い転がり」のボールが打てていた
2番パー5でティショットを大きく左に曲げ、セカンドは林の中から。しかし3打目でグリーンをとらえると長いパットを沈めてバーディ。今日の松山英樹選手はこのプレーに象徴されるように、パッティングに冴えを見せ、アイアンショットも切れていました。
とくに良かったのはパッティングです。PGAツアーの2020-2021シーズンのパッティングのスコアへの貢献度の指標が全体の166位と松山選手の課題とされるのがグリーン上ですが、マスターズ初日は3パットがあったものの平均パット数は1.61で20位タイと安定しています。
ストロークは安定し、しっかりと芯でボールをとらえて重い転がりのボールを打つことができていました。長いパットも決めていましたし、ロングパットを寄せたり、いやらしい距離のパーパットを沈める場面もありました。目澤秀憲コーチがヨーロッパまでパッティングの勉強に出向くなどスウィングだけでなくパッティングの研究にも余念がありませんが、その効果もあるのかもしれません。
パーオン率はフィールド平均57%に対して72%とショットが切れた
そしてショットも良かった。スタッツを見ると、フェアウェイキープ率はフィールド平均が66%のところ71%、パーオン率はフィールドの平均が57%のところ72%と極めて高い数字です。
ショットはテークバックから切り返しにかけて、変化が見られます。従来よりも、後ろから見たときにトップでシャフトがターゲットラインの左を向くレイドオフに感じましたし、トップでの手首の角度も甲側に角度がついていたのがフラットになっていました。
ダウンスウィングの早い段階でスウィングプレーンに乗りやすく、フェースも以前ほど開閉が大きくないことが、ショットの安定感につながっているのかもしれません。打ったあと、フィニッシュで体勢を崩すことが少ないようにも見受けられました。
初日のドライビングディスタンスの平均は267ヤードですが、これはドライバー以外のクラブをティショットで選択し、マネジメント通りにプレーできていることを表しています。2019年のタイガー・ウッズがまさにそうでしたが、オーガスタでは“規定演技”のようなホールに合わせたプレーが求められます。今年の松山選手がその規定演技を4日間ステディに繰り返すことができれば……週末は、眠れない日が続きそうです。