海外メジャー「マスターズ」と言えば、猛者がひしめくPGAツアーの中でもさらに限られたトッププロたちしか出場資格を得ることができない狭き門。
そんな舞台で日本人選手初の優勝を成し遂げた松山英樹に次ぎ、初出場にして単独2位と優勝に迫った24歳のアメリカ人選手がウィル・ザラトリスだ。
歴代チャンピオンでも足元をすくわれる難コース「オーガスタナショナルGC」で、いきなり優勝争いに躍り出たザラトリスに世界のゴルフファンたちの注目が集まったわけだが、このザラトリス、いったいどんな選手なのだろうか?
PGAツアー公式サイトに掲載された記事によれば、もともとザラトリスはジュニア時代から活躍。2014年には、タイガー・ウッズ、ジョーダン・スピースもジュニア時に制覇したUSGA主催の「全米ジュニア」での優勝も経験している。
ちなみに同年代にいたのはコリン・モリカワ、キャメロン・チャンプ、スコッティ・シェフラーらで、2017年に開催された男子アマの英米対抗戦「ウォーカーカップ」では前述した3名とチームメイト。
しかし、2018年のプロ入り後は下部ツアー「コーンフェリーツアー」を主戦場にするも目立った成績を上げることができず。2年前のマスターズ開催週のザラトリスの世界ランクは1514位。1年前もまだ500位前後をさまよっていた。
風向きが変わったのは、昨年の新型コロナウィルスによる試合中断が開けてから。予定外のオフの間に急成長を遂げたザラトリスは、再開直後の「コーンフェリーチャレンジ アット TPCソーグラス」で6位タイフィニッシュすると、そのまま11試合連続でトップ20入り。
11試合のなかで1勝も挙げてPGAツアー参戦のチャンスをつかむと、マスターズまでの14試合で5度のトップ10入り、予選落ちはわずか1回のみと大躍進。そのまま順調に世界ランクを上げて見事オーガスタへの切符を掴むと、メジャーの舞台でも結果を出したわけだ。
そんなザラトリスのスタッツ面を見てみると、特筆すべきなのはパー3でのティショット、パー4・パー5でのセカンドショットの貢献度を表す「ストロークゲインド:アプローチ・ザ・グリーン」が「0.954」で5位である点。端的に言ってしまえば、アイアンショットの精度がツアー全体で見ても優れているのだ。
このアイアンショットがオーガスタで上手く働き、ザラトリスは4日間すべてアンダーパーでプレー。そのプレーぶりはかの“帝王”ジャック・ニクラスの目にも留まり、自身のSNS上で「ウィル・ザラトリスは、初めてマスターズ・トーナメントに出場した若い選手なのに、全日素晴らしいプレーをして、2位の座に留まることができました」と健闘を称えた。
マスターズでは松山に軍配が上がったが、今後のPGAツアーではザラトリスの活躍にも注目していきたいところだ。