今年から目澤秀憲とタッグを組み、マスターズを制覇した松山英樹。その変化はどのようなものか? プロゴルファー・石井忍が解説。

目澤秀憲コーチは、体の使い方やクラブの使い方など、その人にとって最適なスウィングを目指す上で必要なピースを本人のフィードバックを受けながらロジカルに提案していくというコーチです。彼がチーム松山に加わったことで、松山選手が目指す方向に明かりを灯すことができたのかもしれません。

画像: 「マスターズ」で日本人初となるメジャータイトルを掴んだ松山英樹(写真提供/2021 Masters)

「マスターズ」で日本人初となるメジャータイトルを掴んだ松山英樹(写真提供/2021 Masters)

松山選手のスウィングは肩を縦回転させていくのが特徴的です。踏み込んだり、蹴り上げたりといった動きを大きくは使わず、頭の上下動を抑えたスウィングで、正確性を武器にしています。

ただ、肩を縦回転させると、インパクト以降は右肩が下がります。右肩が下がるとクラブのフェースは開く方向に作用しやすくなります。それを今年に入ってからはフォロースルーで右肩が下がりすぎない、体が右に倒れ過ぎないようにすることでボールをつかまえ、キャリーが落ちないフェードボールをコントロールしているように見えました。

仕上がったスウィングを見ると、おそらく、理想とするクラブの軌道とフェースの向きをチーム内で意識して、仕上げていったんじゃないかなと感じました。フェードはコスリ球と思っている方も多いかと思いますが、しっかりとつかまえて打つことで意図するキャリーを出すことができるんです。

画像: フォロースルーで右肩が下がりすぎないようにすることでボールをつかまえながらコントロールしていたと石井は分析する

フォロースルーで右肩が下がりすぎないようにすることでボールをつかまえながらコントロールしていたと石井は分析する

その、ボールをつかまえる意識が見られたのが、3日目の15番のセカンドショットと、16番のティショット。どちらも球筋の詳細はわかりませんが、薄めのフェードで打ち、イーグル、バーディ、そして続く17番もバーディを奪っています。ともにインパクト直前から右側屈し過ぎないようにしながら、ボールをつかまえる動きのなかでフェードをコントロールしていました。

結果的に池に入りましたが、最終日の15番のセカンドショットも印象的なショットでした。あの場面で2オンを狙うと思っていなかったので驚きましたが、アグレッシブに攻めたことからも、ショットの精度の高さへの自信の大きさを感じました。

松山選手が唯一持っていなかったのがメジャーのタイトル。それを獲得した経験値と自信によって、これからメジャーにまだまだ勝つんじゃないかと思わせてくれます。個人的にはグランドスラムを目指してほしい。それくらいの実力が、今の松山選手にはあると思います。

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