高島早百合(以下高島):5月のドラコン大会に出場されるユージさんのレベルアップのために、今日は私の師匠でもある和田正義プロにも協力していただきたいと思います!
ユージ:おぉ! よろしくお願いします!
和田正義(以下和田):よろしくお願いします。さっそく、まずはユージさんのスウィングを見せてください。
――和田プロの前でスウィングを披露するユージ。トータルで336ヤードと驚異的な飛距離が飛び出したが和田は「まだまだ改善の余地はある」という。
和田:まず、スウィングに躍動感がないんです。スウィング中の筋肉の収縮がもっと欲しいんですよね。
ユージ:どういうことですか。
和田:まず、【1】バックスウィングでしっかりと「筋肉を伸ばして」、【2】ダウンスウィングの前半でその伸ばした「筋肉を縮めて」、【3】ダウンスウィングの後半からフォローにかけては「縮めた筋肉をまた伸ばして」いく。この3つの動きが必要なんです。
ユージ:なるほど。
和田:でもユージさんは、バックスウィングの時の“右ひじのたたみ”が上手すぎて、体が回転不足になって筋肉が充分に伸びていないんですよ。それで上半身が起き上がってしまい、そこから打ちにいくので、腰が入らずに伸び上がって状態で球を打っているんです。
ユージ:あ~、そうなんですね。
和田:要するに、右ひじを曲げてクラブをヒョイと上げるのでこじんまりしすぎているんです。ドラコンスウィングなんだから、もっと大きく体を使って欲しいですね。
ユージ:なるほど。もっとダイナミックに振って良いんだ。
和田:和田が体を大きく体を使うスウィングを身に付けるためには、重たいボールを遠くへ放り投げるイメージでシャドースウィングをするドリルがオススメです。重いモノを投げる時には、腕を伸ばして体を大きく揺さぶって投げるでしょ。その動きをゴルフスウィングにも採り入れて欲しいんですよ。
上下動と捻転差を使って、【1】バックスウィングで両手を伸ばして大きく振り上げ、【2】トップから切り返しにかけて下半身が沈み込んでパワーを溜め、【3】そのパワーをインパクトで放出する時に体を伸び上げる動きを意識してみてください。
――和田の動きをまねして両腕を大きく振るシャドースウィングをするユージだが、なかなかうまくいかず。ここで和田とユージのレッスンを見守っていた高島がアドバイス。
高島:ユージさんは腕の力で動きを作ろうとしちゃっているので、動きが固いんですよ。腕の力を抜いて関節を柔らかく使えれば、もっと可動域が広がると思います。
――高島のアドバイスを受けて腕の関節をゆるめて再び振ると、動きにしなり感が生まれ始めたが、さらに良くするために和田からもアドバイス。
和田:ユージさんはアドレスでつま先体重になっているので、スウィング中のひざの動きが少ないんです。アドレスでは足裏の真ん中あたりに体重を掛けておき、そこから大きなバックスウィングをしていくと、トップで右ひざが伸び、左ひざが曲がった状態で、両ひざの間に十分に動かせるスペースができるので意識してみると、トップでの捻じれも増して躍動感が出てきますよ。
体を大きく使う感覚がつかめたら、次の段階ではドライバーの両端を左右の手の平で挟むように持って、大きく振るシャドースウィングをしてみましょう。まず両手でクラブを挟んで持ちます。こうするとスウィング中に両腕が突っ張るので、ひじを曲げて使えなくなり大きな動きが自然にできるようになりますよ。この状態でひざもしっかりと使いながらシャドースウィングしてみてください。
ユージ:はい。あ、このドリル、俺に合ってるかも。
高島:可動域が広がって大きなスウィングになりますよね。
和田:最初は軽くフォワードプレスのように左側に腕を揺さぶってからスタートするとやりやすいかもしれません。ポイントは、あまり左右への体重移動は意識せず、その場で「腕を大きく振る」をイメージすること。この時、クラブを挟んで持っている腕は使えないので、腹筋や脇腹、下半身を積極的に伸ばして、縮めて、伸ばすことを意識しましょう。
ユージ:こんなに動いていいんだ、っていうくらい大きく振るイメージですね。
和田:そのくらいの躍動感を出さないとダメですね。ドラコンのスウィングって、オーバースウィングになるんですけど、腕で上げたオーバースウィングじゃなくて、今のように体全体を大きく動かしたオーバースウィングで打つんです。
――和田のドリルを実践するユージ。そのスウィングを見ていた和田から、さらに指摘が入る。
和田:一見良さそうなんですが、ダウンスウィングの時に腕は動いているんですけど、足が使えていないんですよ。もっと腕はトップの位置で伸ばした状態のまま、足を沈み込ませる感じで振ってみましょうか。
ユージ:難しいですね。
和田:じゃあ、トップで伸ばしたままの上半身はキープして、その状態で下半身でスクワットをして沈み込み、そこからターンして伸び上がる。このイメージでやってみましょうか。もっとバックスウィングで体の左サイド全体を使ってフルターンして、それでトップまできたら、下半身を使ってダウンスウィング。そんなイメージです。
ユージ:なんか今までとはまったく違う世界だなぁ。とりあえずやってみます。
高島:――お、カッコイイ! 今、体の動きが連動していましたよ。
和田:そういう感じです。
ユージ:今までは腹筋やわき腹を使えていなかったんでしょうね。今日やっただけで、今凄くお腹周りの体幹部分が疲れています。
和田:今までは立ち幅跳びだったんですよ。でも走り幅跳びのほうが助走が有るぶん、距離は伸びるじゃないですか。それと同じなんですよ。飛ばしは、バックスウィング次第です。では、実際に球を打ってみましょうか。
――さっそく教えてもらった動きを実践するユージ。1球目はトータル277ヤード、ヘッドスピード57.7m/sと慣れない動きに苦戦する結果に。ここで和田から指摘が入る。
和田:テークバックで動き出すときに、左わき腹とか左腰がまだ動いていないですね。動いているのは左肩だけ。
高島:手だけが先に行っちゃっている状態ですね。
和田:そう。手だけが動いて、最後に左足でヒールアップしている感じなんですよ、そうではなく、全体が動いて、それに引っ張られて最後に左足のヒールアップに繋がるようにしてみましょう。
ユージ:はい! 2球目行ってみます――あっ、トップだ……。
和田:今のスウィングイメージで合ってます、全然良いですよ。とくに最初のうちは絶対にトップのミスが出ちゃうので、慣れの問題です。
――そしてついに3球目、トータル331ヤード、ヘッドスピード58.7m/s飛ばすことに成功!
高島:めっちゃ良い球! 躍動感もでてきたし。
ユージ:弾道も良いし、ヘッドスピード58.7m/sは今日イチですね。
和田:トップで左サイド全体が深く入っていて筋肉が伸びていて、強いねじれが生じていましたし、ダウンスウィングでは上半身は動かさずに足で引っ張ってきているので、クラブにタメが生まれている。インパクトでも、頭が右サイドに残りヘッドが大きく振り出された野球選手のホームランバッターのようなスウィングになっています。
ユージ:ありがとうございます!
和田:ドラコンの基本的なスウィングの考え方は筋肉の動かし方として、【1】バックスウィングで筋肉を伸ばし、【2】ダウンスウィングで縮め、【3】インパクトからフォローに向けて再度伸ばしていく。これがベースだと覚えてください。今までユージさんは右ひじのたたみが上手かったから【1】のバックスウィングで筋肉が伸び切っていない状態で終わっていたので、ダウンスウィングは無理をしてクラブを下ろしていくしかない、という状況になっていたんですよ。
ユージ:はぁ~、なるほど! しかも、ドラコン的に良くないポイントも「上手いから」と言ってくれるから気分が悪くないんですよね(笑)。教え上手だわ~。
高島:私がユージさんの師匠なら、和田さんは神様ですから!
和田:まだ考えながら振っている状態だから、クラブスピードがまだ60m/sまで上がっていませんけど、繰り返しやっていけば考えなくても振れるようになるから、クラブスピードは自ずと伸びてきますよ。
ユージ:ありがとうございます! 次回もよろしくお願いします!
協力/LETSGOLF銀座
※後編は2021年4月18日20時30分公開予定