高島早百合(以下高島):ユージさんのさらなる飛距離アップを目指すために、お手本として私の師匠でもある和田プロのスウィングを見てみましょうか。
ユージ:お! お願いします!
和田正義(以下和田):わかりました。
――ユージ所有の45.5インチと一般的なクラブ長のラウンド用ドライバーを借りて、スウィングを披露する和田。「2割スウィングで」と言って放った1球目はヘッドスピード52.9m/sでトータル280ヤード。2球目はヘッドスピード57.1m/sで341ヤード。ユージのMAX飛距離336ヤードを軽々と超えていく。全6球打ち一番飛んだのは6球目で、なんとトータル376ヤード。ヘッドスピードは60.9m/sという驚異の結果に。
ユージ:ヤバ! 自分のクラブが、こんな飛距離が出るなんて知らなかった。今のスウィングって、和田さん的には何パーセントくらいのパワーだったんですか?
和田:ユージさん、そもそも飛ばしは柔軟性と筋肉の収縮なのであって、パワーではないんですよ。柔軟性と筋肉の収縮があればパワーが活きるんですけど、筋肉の収縮がない硬い体でパワーに任せたスウィングではシャフトがしならないです。ダウンスウィングでシャフトがしなって、そのしなり戻りが来てインパクトでヘッドは走る。そのためのバックスウィングの助走と筋肉の伸ばしというのが大事になってくるんです。
ユージ:なるほど。たしかに和田さんのスウィングを正面から見ると、トップで右肩の背中側が見えそうなくらい体が捻られていますよね。
高島:そうそう。それでトップに達した時に下半身は切り返していくんです。
ユージ:トップにクラブがある時に、下半身は下に向かってグッと沈み込んでいますね。
和田:そうです。
ユージ:ダウンスウィングでは左ひじが地面と平行になっている時に、ヘッドはまだトップの位置からさほど動いていませんね。
高島:そこが余分な力が入っていない証拠ですよ。手首とか関節が柔らかく使えているのでヘッドが最大限に走らせることができています。フィニッシュでは勢い余って背中にシャフトが当たるくらい走っていますね。これがユージさんにはないところなんですよね。
ユージ:背中になんて、一回も当たったことないです。でも和田さんのフィニッシュでは、背中に当たったシャフトがバウンドしてさらにしなり戻ってますよね。
和田:振った勢いで背中に当たったバウンドにシャフトが耐え切れず、折れてしまうこともありますよ。それくらい、ドラコンでは豪快に無理をしないといけないんです。
ユージ:折れるくらい!? 凄すぎる……。
高島:まあまあ、折るまではいかなくていいんですけど、ユージさんはヘッドの走りとかがまだ使い切れていないんですよね。
ユージ:そもそもフィニッシュでシャフトが背中まで届かないですよね。
和田:まだまだ腕で振っているのでシャフトが走らず、背中まで届かないんですよ。フィニッシュは体に巻き付くまで振るという意識が大事なんです。シャフトのしなりで「タメを作る」ことが大事です。
ユージ:しなりでタメを作る……コツとかってあるんですか?
和田:そもそも、ドラコンスウィングでしなりによってタメを作る原理から説明しましょう。わかりやすいように、右手一本で、ドライバーのグリップとシャフトとの境目の所を持ち、前腕の部分にグリップを当ててください。
この前腕とグリップがピタッとくっついた状態でバックスウィングをしていきトップへ。そしてクラブがトップへ達する直前に、下半身を地面に向かって沈み込ませると、今までくっ付いていた前腕とグリップが一気に離れてしまいますよね。この時、上に向かおうとするクラブと、下に向かおうとする下半身の動きの間に生まれたギャップにより、シャフトにしなりが生じでタメが生まれるわけです。
ユージ:なるほど。
和田:ドラコンスウィングの場合、ノーコック気味に手先を使わずに体でクラブを上げていき、ダウンスウィングの瞬間に(グリップが)ひっくり返るイメージなんですよ。
高島:トップからの沈み込みの時に、一気にグリップがひっくり返ってタメが作られるんですよね。それでフォローにかけての下半身の伸び上がりの所でヘッドが走るんです。
和田:練習法として、タオルの先端を縛って作った結び目をヘッドに見立て、その結び目の部分がダウンスウィングの時に背中に当てることができるかを試してみましょうか。まず僕がお手本を見せますね。
ユージ:――タオルの結び目が背中に当たって、バチーン! って凄い音が鳴りましたよ。
高島:お~、凄い。和田さんも凄いドヤ顔してます(笑)。
和田:これが先ほど言った、トップでのひっくり返りの原理なんです。これを腕だけでやっても意味がなくて、下半身の先行という動きがあって、それに連れて腕が動いてく。それで初めてタメってできるものなんですよ。ダウンスウィングでカット軌道になると、ヘッドが前に出てしまうから背中にシャフトは当たらない。だからタオルを振るドリルはインサイドからクラブを下ろしてくるための練習にもなりますね。
ユージ:――う~ん。意識してやってみたら、背中に当たるようになりましたけど、音がどうも鈍いですね。
和田:でも、良い音は出始めてますよ。背中にシャフトが当たるくらいのタメを作るために、このタオルドリルを家でも繰り返しやってみてください。
ユージ:はい! ありがとうございました!
協力/LETSGOLF銀座