みなさんは、松山英樹プロのマスターズ制覇を、ご覧になりましたでしょうか。私も早朝(深夜?)から18番まで固唾を飲んで見守ったクチ。
さて、マスターズでの松山プロのプレーで、私がとくに印象に残った1打があります。それは、最終日18番ホールでのセカンドショットです。
2位とは2打差を持って18番ティに立った松山選手。最後の難関であるティショットを見事フェアウェイに置き、その時点でほぼ勝利は確定しました。残りはピンまで132ヤード。松山プロのアイアンの精度なら、100回打って100回乗りそうなシチュエーションでしたが、なんと右のバンカーに入れてしまいます。
私は、これがすごいと思いました。もちろん私は松山プロではないので真意はわかりませんが、あの状況でも「外すながら右バンカー」と冷静に考えていたのか……! と感動したのです。
18番ホールではグリーン左手前にピンが切られているため、左に外すとニアサイドとなり、難しい寄せが残ります。一方、右バンカーであれば寄せて2パットで上がるのは難しくない。セカンドショットの時点で、松山プロの頭の片隅にはそのようなリスク管理があったのだと思います。
たとえばベストスコア更新がかかったり、競技の予選通過がかかった18番ホールの残り100ヤードのセカンドで、自分はこんな冷静な攻め方ができるか? 正直疑問です。乗せること、寄せること、早く緊張から解放されること……そのことばかりに頭がいくのは想像に難くありません。実際、観ている私も「乗せて2パットで優勝! バーディフィニッシュだったら最高だなあ」としか考えていませんでした。
そして、サードショットのバンカーショットも無理に突っ込まず、ボギーでOKというマネジメントに徹したように見えました。そして、余裕の2パットで優勝。結果はボギー。しかし、1打1打に明確な意図がある、見事なボギー、素晴らしいマネジメントだと思いました。
マスターズでの4日間を通じて1度もダブルボギーを叩かなかった松山プロのセーフティなプレーの背景には、世界トップの技術もさることながら、つねにリスクを頭に入れてそれを避ける冷静なマネジメントもあるのだと思います。アマチュアの私は、松山プロのような神がかったショットを打つことはできません。しかし、あの冷静なマネジメントだけはぜひとも真似したいものだと思ったのでした。