今年の全米オープンはミケルソン51歳の誕生日の翌日6月17日から彼の故郷カリフォルニア州サンディエゴのトリーパインズGCで開催される。メジャー5勝のミケルソンにとって唯一獲っていないタイトルが全米オープン。これに勝てばキャリアグランドスラム達成と相成るのだが、なぜミケルソンは招待を受けながら迷っているのか?
現在の世界ランクは113位。正規に出場権を得るには5月27日の時点で同ランク60位以内に入るか、大会前に行われる地区予選に出場し上位に入らなければならない。そこで「メモリアルトーナメントのあとの地区予選に出るスケジュールを組んでいる」とあくまでも正規のルートでの出場を模索していたのだ。それを免除され特別扱いされることに対する抵抗感が出場をためらわせる理由の1つ。
USGAがナショナルオープン(全米オープン)への特別招待枠を設けることはほとんどない。あるとしても過去のチャンピオンに限られてきた。たとえば2019年に招待されたアーニー・エルスは全米オープン2勝の実績を持っている。
一方ミケルソンはこれまで6度2位に入っているが未勝利。これも引っかかっている点のひとつ。直近での大会2位は2013年。しかしそれ以降トップ10入りはなく最高位は28位タイ。出るたびに「キャリアグランドスラム」が話題になるが、現実的に優勝のチャンスはかなり低い。
昨年は9月に全米オープンが行われたが、そのときミケルソンは「招待枠では出場しない」と明言していた。しかしコロナの影響で地区予選が行われず世界ランク枠で正規に出場する機会を得た。結果は予選落ち。
そしてもう1つ悩む材料がUSGAとの確執。ミケルソンとUSGAの関係は決して良好なわけではない。最高峰のメジャーの権威を守るためUSGAは厳しいコースセッティングを採用するが、度が過ぎると選手たちから不満が噴出する。
たとえば2018年シネコックヒルズで行われた全米オープンの3日目、ミケルソンはグリーン上でまだ動いているボールを意図的に打つルール違反を犯すことでセッティングに対するフラストレーションを爆発させた。
シニアではデビュー2連勝したミケルソンだがレギュラーツアーでの優勝は2019年のAT&Tペブルビーチが最後。昨年8月以降ベスト10入りはない。
とはいえ引退を考えていた選手が突如メジャーで勝つという例は少なくない。出場さえすればホームタウンVの可能性はゼロではない。