ユージ:今までは室内のシミュレーションゴルフでやってきましたが、今回、初めて外に出てきました。予選会がこの場所で開催されるわけですよね。
高島:そうなんです。初めて来ましたか?
ユージ:初めてです。
高島:さっそくホールをチェックしていきましょうか。まず総距離は353ヤードで、印象的にはかなりの打ち下ろしホール。しかし細かくチェックをすると、ティーイングエリアからずっと下がっているものの、グリーンに近づくと今度は上りになっています。つまり形状的には「下って上る」ホールになりますね。グリーン手前にある、IPである黄色いフラッグまでが30ヤードの下りで、そこから先が上りですね。
ユージ:ということは、黄色い旗あたりから先はランが出にくいということですか。
高島:その可能性は高いです。
ユージ:なるほど。
高島:ですから、このホールは、あの黄色い旗の先にいかにキャリーで飛ばしていけるかなということになると思いますね。
ユージ:高島プロから見て、このホールはどう攻めていきますか。
高島:普通のラウンドなら、右に見えているバンカーの手前くらいにティショットを刻んで、そこからセカンドを狙います。ただドラコンの場合はあの右のバンカーは越えないと勝負にならない。しかし、バンカーの奥は崖と林が食い込んで迫り出してきていますよね。そこでまず、あそこにだけは行ってはいけないと考えます。
ユージ:本当だ。僕みたいなスライサーは右サイドに行くと、ちょうどあの右の林あたりがキャリーのポイントになりますからね。
高島:ユージさんはどういう印象ですか。
ユージ:僕はパッと見、広く感じたんですよ。
高島:え、本当ですか!
ユージ:僕はスライサーなので左のバンカーを狙い、結果フェアウェイに戻ってくるイメージで打つと思います。で、想定するキャリーの落下地点である左のバンカーの右辺りのフェアウェイを見ると、左から右に傾斜しているので、スライサーは多少ランも出るんじゃないかと思ったんですよね。だから、あの左のバンカーを狙っておけば間違いはないかなと思うんです。
高島:お~、良いじゃないですか。ではそのイメージで、打ってみましょうか。
――いざ打とうと意気込んだユージだが、1球目はテンプラ。2球目は右へのプッシュに。これを見て高島が何かを閃いたのか、ユージにアドバイスを始める。
高島:ユージさん。このティーイングエリアって、よく見ると全体的につま先下がりの地形になっているんですよ。
ユージ:え、そうだったんですか。
高島:つま先下がりは、ティアップを右サイドにするほどその影響は強くなります。でも本番では2人もしくは3人で打つので、打席が決められてしまいティアップの場所は選択できません。だからもし右サイドの打席になった場合は、それなりにつま先下がりの対策を頭に入れておいたほうがいいでしょうね。
ユージ:そうなんですね。
高島:おそらく、先ほどテンプラも右プッシュもそれが原因かもしれませんね。
ユージ:これは屋内での練習だけではわからなかったところですね。師匠、つま先下がりの時の打ち方を教えてください!
高島:つま先下がりの場合は、無意識に体重がつま先側に掛かってしまうので、クラブの軌道がアウトサイドからダウンブロー気味に入って来がちです。そうするとユージさんの1球目のようなテンプラになったり、2球目のようにスライスがきつくなったり、あと左への引っ掛けも出たりします。それを踏まえて、アドレスで重心の落としどころを土踏まずくらいに意識しておいてスウィングをすれば、クラブは上からカット目に入ることは少なくなります。
ユージ:とくにこのティーイングエリアって見た目はそんなつま先が下がっているように見えないので、知らぬ間につま先体重になっていたんですね。
高島:そうですね。あと、ユージさんが最初にティアップしたのがつま先下がりで、左足の位置はさらに左足下がりにもなっているので、テンプラもしやすいし右にも出やすいという複雑なライだったんですね。
ユージ:じゃあ場合によっては、ティを少し下げたほうが良かったりするんですか?
高島:そうですね。
ユージ:ドラコンって、1センチでも先に行きたいので、出べそギリギリでティアップしたくなるけど、でも10センチ下がったほうが結果は良いかもしれないということですよね。それができるかどうか……。う~ん、奥が深すぎるぞ、ドラコン!
――何球か打つものの、一番良い結果でトータル307ヤード。自身の最長記録である337ヤードには届かない結果となった。
高島:インドアのシミュレーションゴルフで打つ時は「どこに行ってもいい」という気持ちがあるので思い切り振れていたのが、本コースに出ると「あの幅に入れなきゃ」という意識が働いて合わせて振っているなというのが見て取れました。
ユージ:やっぱり、そうですか。
高島:あとは、ティの形状を、上がる前にしっかり見ておき、打つ前に対策を頭に入れておくということも大事でしたね。
ユージ:たしかに、そこはできていなかったですね。しかし、守りに入っているのバレてましたか。
高島:もちろん(笑)。
ユージ:僕が守りに行って中途半端な記録出して、それで予選も通過できないんじゃ、何のために出たの? ってことになりますからね。
高島:そうですよ。
ユージ:わかりました。大会まで、どんなことがあっても振り切る技術とメンタルを作り上げておきます!
協力/日本長江ゴルフクラブ 写真/野村知也