練習場シングル、と呼ばれる人がいます。練習場で打っているボールは目が覚めるほどいいし、コースでもビシッと打ったショットは飛ぶし曲がらない。なのに、平均スコアは90とか95とかで落ち着いてしまっている。
なぜこのようなことになってしまうのか。私の周りの上手い人と見比べてみると、ひとつ、決定的な違いがあることがわかります。
それは「そこそこの球を打つ力」。ナイスショットを打つ力は練習場シングルも、ホンモノのシングルプレーヤーも大差ない。しかし、「そこそこの球を打つ力」は大きく違うと思うのです。
たとえば、強烈なアゲンストが吹いていて、左サイドはずっとOBゾーンというホールがあったとします。腕前関係なく、上手く打てるかなと不安になる状況ですよね。この状況で目の覚めるようなナイスショットなんてプロでもなかなか打てません。
ハンディキャップの少ないゴルファーは、打ち方だったり選ぶ番手だったり、こういった状況を“そこそこの球”でしのぐ術をなにかしら身につけています。しかし、練習場シングルの場合、ドライバーでいつも通りのスウィングをしようとして、普段は出ないどチーピンを打ったりしてしまう。
たとえ180ヤードしか飛ばなくても、フェアウェイにボールがあればスコアは守れます。でも、OBを打ってしまえば打ち直しは3打目。2ストロークを失います。スコアを守るのは、ナイスショットではなく、実は“そこそこの球”なんです。
「そこそこの球を打つ力」を磨くためには、練習場で本番を想定した練習をするのが効果的です。150の看板を狙って打つとすれば、「看板は絶対に超えない」「看板より右には絶対に行かせない」と決めて、打っていく。
それだけで、気持ちよくスウィングすることはできませんから、自分が打てる最高のショットも打てません。でもそれでいいんです。練習すべきは、「気持ち悪いな〜」と感じながら、それでも必死に打ってフェアウェイにしがみつく“そこそこの球”なんですから。
それが打てるようになったとき、練習場シングルと呼ばれる人は、あっという間にホンモノのシングルになれると私は思います。