試合などプレッシャーがかかる本番でも練習通りにプレーし、実力を出せる。それができたら理想的だが「それはプロでも簡単にできることではありません」というのは、プロも教えるメンタルコーチ・池努。では、どうやれば本番でも実力を発揮できるメンタルの強さを身に付けられるのか。教えてもらおう。

スポーツをしてきた方であれば一度は「練習は試合のように。試合は練習のようにやるべき」と言われたことがあるのではないでしょうか。

メンタルコーチとして数多くのプロアスリートのメンタルサポートをさせてもらいましたが、実際は「試合を練習のようにいつも通り行う」ことはプロでも簡単ではありません。

画像: 大会などプレッシャーのかかる大事なラウンドで練習通りの実力を出すことはプロでも難しいと池氏。ではプレッシャーに負けず実力を出すための方法とは?

大会などプレッシャーのかかる大事なラウンドで練習通りの実力を出すことはプロでも難しいと池氏。ではプレッシャーに負けず実力を出すための方法とは?

確かに本番も練習のようにやれれば自分のパフォーマンスは発揮できます。しかし、大事な本番だからこそ練習のようにやることが難しいのです。今回は大事な本番でのプレッシャーに強くするためのトレーニングを紹介していきます。

究極のプレッシャーの中でパフォーマンスを発揮するメンタリティのことを「メンタルタフネス」と呼びます。このメンタルタフネスはより上を目指すアスリートであれば誰もが欲しいものだと思います。

私も多くのプロゴルファーや競技ゴルファーをサポートし、その中でQT(予選会)を突破してツアー出場を目指す男子ゴルファー、プロテストを通過してツアー出場を目指す女子ゴルファーといった選手たちから多いメンタルの相談に「大事な試合でプレッシャーに負けてしまいパフォーマンスを発揮できない」というものがあります。

この類の選手たちがなぜ試合で力を発揮することが難しいのかと言うと、男子のQTも女子のプロテストも、それぞれ一年に一度の一発勝負だからです。年に一度だけであるこれらの試合は競技者の人生をかけた試合だからこそ、誰もが「結果を出したい」と思い入れます。そんな思い入れが究極の集中力につながる選手もいれば、いつものパフォーマンスを発揮できないことにつながる選手もいます。

そして、後者のように人生をかけた大事な試合で「パフォーマンスを発揮できなかった」という本人にとって負の経験をすると、次年度の同試合ではさらに大きなプレッシャーの要因となることもあります。

もちろんメンタルコーチとして、プレッシャーに対処するメンタルスキルを教え、身につけてもらうこともありますが、実はそういったスキルも「人生をかけた試合」のような究極のプレッシャーの中では効果を発揮しないことも多くあります。大きなプレッシャーで余裕も冷静さも失っている状況では、せっかくトレーニングしたメンタルスキルも活用することができないという状態になるからです。

このような状態になることは想定内なので、そのような極度のプレッシャーに対処するためにある意味古典的だと思われる手法をゴルファーに提案していきます。

それが通常のプレッシャーがかからない練習ラウンドに“ある設定”をするのです。それが「スコアが〇〇以下だったら〇キロ走る」という「罰」の設定です(もちろん罰走以外でも可能です)。

たとえば実際にサポートしているプロテスト合格を目指す女子ゴルファーはプレッシャーへのメンタルタフネスを目的として「次回のラウンドでスコア74以上だったら10キロ走る」というスコア目標をつくり練習のラウンドをやっていくのです。このような目標設定は想像以上に試合に近い心理状態を作る上で役立ちます。これで本当に「練習を試合のように」を作り出せるのです。

上記選手の感想だと「下手したら試合よりプレッシャーがかかる」とも言います。あなたも想像してください。自分の中で80点のスコアを設定し、それを下回ったら10キロ走らなければならないのです。そんな状況であればラウンド中、スコアもいつもより気にしますし、痛いミスを悔いたくもなります。つまり、プレッシャーやストレスが格段に増えるのです。

このような取り組みは「タフネストレーニング」とも言われ、上記のような環境設定のもと、トレーニングを続けることでそのプレッシャー・ストレスに少しずつ順応することを狙っていくのです。

このように練習のラウンドでも「スコアを出さなければ」「ミスはできない」という状況を作り出すことはメンタルタフネスにつながるトレーニングになります。プレッシャーに強くなりたいと言う方はひとつの参考にして貰えれば幸いです。

画像: ドラコン王者たちがユージに特別レッスン!飛ばしの秘密はどこに?! youtu.be

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