全米女子オープンで勝利を掴んだ笹生優花。そんな彼女のクラブセッティングに注目したゴルフトレンドウォッチャー・コヤマカズヒロ。“日本女子選手っぽくない”個性的なクラブセッティングだというが……詳しく聞いてみよう!

若干19歳で全米女子オープンを制した笹生優花。抜群の飛距離が武器だけに、そのクラブセッティングも日本の女子選手っぽくないチョイスになっている。

まず気になるのはドライバーだ。昨年まではテーラーメイドの「M5」を使用していた。笹生が使用したドライバーは、師匠である尾崎将司のところにあった男子プロ用だったという。

「M5」は2019年に発売されたモデルで、低スピン性能が高く、左へのミスが出にくい、一般的には難しいとされている特徴がある。松山英樹はこの「M5」、そしてさらにハードな「M5 ツアー」を使っていたことがあるが、女子選手ではこのモデルを使う選手は非常に少なく、女子選手離れした飛距離を持つ笹生らしいチョイスだった。

ところがというか、全米女子オープンに勝利した際、笹生が使用していたのは2021年モデルの「SIM2 MAX」だった。このモデルは、寛容性が高く、ボールが上がりやすいのが特徴だ。同シリーズにはさらにハードで左にいきにくい「SIM2」があり、「M5」から移行するにはそちらのほうが一見スムーズに思える。曲がりにくさやつかまりをドライバーに求めたのかもしれない。シャフトは「セブンドリーマーズ」(※現イミドアンドサンズ)で、海外のメディアにも「世界で最も高額なシャフト」などと紹介されていた。

画像: 全米女子オープンでは2021年モデルの「SIM2 MAX」を使用していた笹生優花(写真はGettyImages)

全米女子オープンでは2021年モデルの「SIM2 MAX」を使用していた笹生優花(写真はGettyImages)

3番ウッドはキャロウェイの「マーベリック サブゼロ」、その下は「マーベリック」の20度ユーティリティだ。男子プロであれば、この2本の間に。5番ウッドか3番アイアンに相当するクラブをもう1本入れるところだ。しかし、笹生にとっては、女子ツアーのセッティングで、この距離でグリーンを狙う機会がほとんどないのだろう。3番ウッド(15度)と、5番アイアン(※カタログでは26度)の間に、1本しか入れていない。

画像: 笹生は三浦技研「TC-101」のアイアンを選んだ(撮影/大澤進二)

笹生は三浦技研「TC-101」のアイアンを選んだ(撮影/大澤進二)

その代わりというわけではないが、全米女子オープンでは日本の女子選手にはほとんどいないウェッジ4本体制だった。PWを抜き、タイトリスト「ボーケイ SM8」を46度、52度、56度、60度と入れている。これは上の番手とは逆の事情で、短く中途半端な距離が残りやすいためにその対策として下の番手を厚くしている。

加えて、ラフが厳しい全米女子オープンのセッティング、さらには将来的なアメリカツアー参戦を見据えて、60度ウェッジを入れたセッティングが必要なのだろう。ちなみに昨年は、60度を抜いて、5番ウッドを入れたり、アイアンセットのPWをそのまま使用している。アイアンを4番から使うこともあるようだ。

アイアンに三浦技研を選んでいるのは、ギアマニアには有名な話だ。海外のトッププロが密かにアイアンを依頼していることでも有名な同社だが、海外メディアではメキシコのエイブラハム・アンサーが使用している軟鉄鍛造メーカーと紹介されていることが多いようだ。

画像: 笹生モデル「ピレッティ エリート ポテンザ ツアーオンリー GSS パター Y.S. 」(撮影/大澤進二)

笹生モデル「ピレッティ エリート ポテンザ ツアーオンリー GSS パター Y.S. 」(撮影/大澤進二)

パターは、削り出しパターでギアマニアの使用者が多い「ピレッティ」だ。全米オープンで使用した笹生モデル「ピレッティ エリート ポテンザ ツアーオンリー GSS パター Y.S. 」は、なんと49万5000円税込という高額だが、注文が殺到しているという。

男子プロのハードヒッターほどではないが、女子では別格の飛びのポテンシャルを持つという他に似ている選手が少ない笹生。そのクラブ選びの個性もなかなか面白い。

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