「宮里藍サントリーレディスオープン」の最終日、首位稲見萌寧の4打差を追ってスタートした青木瀬令奈が5バーディノーボギーの67でプレーし逆転で4年ぶり通算2勝目を挙げた。最終ホールまでもつれた混戦の模様をプロゴルファー・中村修がレポート。

プレー中は「笑わないと決めていた」青木瀬令奈

3日目を終え首位に16アンダーには稲見萌寧、4打差の2位タイに青木瀬令奈、木村彩子、西郷真央、西村優菜、5打差の6位タイには岡山絵里、山下美夢有選手が続いていました。

2021年に入ってから既に5勝を挙げている稲見選手がこのまま突っ走り勝利を手にするのではという予想に反してショット、パットともに調子が上がらず、スコアを伸ばせません。

画像: 4年ぶりの通算2勝目を挙げた青木瀬令奈(写真は2021年の宮里藍サントリーレディス 写真/姉崎正)

4年ぶりの通算2勝目を挙げた青木瀬令奈(写真は2021年の宮里藍サントリーレディス 写真/姉崎正)

4番までパーを並べた稲見選手に対し、山下選手が2つのバーディで追い上げを開始すると、5番、6番、8番で青木選手が3つのバーディを奪い稲見選手包囲網は狭まっていきます。「今週は調子が上がらない」と話しながらも3日間ノーボギ―のプレーを続けていた稲見選手でしたが、9番でボギーを叩き4打差は失われます。

すると後半は大混戦の様相を呈します。山下、西郷両選手が16アンダーでホールアウトすると、稲見選手は16アンダー、青木選手は17アンダーで最終ホールへと進みます。

会場となった六甲国際GCの最終ホールは打ち下ろしでセカンド地点は左足下がり。そこから左から4ヤードに切られた池越えのピンを狙うというホールロケーションです。青木選手は残り135ヤードからピンを果敢に攻め、ピン奥約5メートルにオン。一方の稲見選手はピン右8メートルにつけましたが、そこからのバーディパットを決められず万事休す。2パットで青木選手が4年ぶりの優勝を手にしました。

画像: ボールに線を引いたことも奏功し次々にバーディパットを決めた(写真は2021年の宮里藍サントリーレディス 写真/姉崎正)

ボールに線を引いたことも奏功し次々にバーディパットを決めた(写真は2021年の宮里藍サントリーレディス 写真/姉崎正)

印象的だったのは、終始表情を変えずにすべてのショットが安定していた青木選手のプレーです。

「心拍数と気持ちをなるべく低い位置に保つように心がけた」と優勝会見で話した通り、普段はカメラを向ければ笑顔で応えてくれる青木選手ですが、今週はあえて「笑わず」に表情を無にして戦ったといいます。

レーシングドライバーの松下信治さんからのアドバイスで気持ちを制御し、最終日は14回中13回フェアフェイをキープ。18ホールでパーオンし、持ち味の正確なショットでバーディパットを打ち続け、5つのバーディを決めました。

練習日から優勝を目指して気持ちが入っていたようですが、それを表には出さずに徹底した心のコントロールを続けたとも話していました。最終ホールの短いウィニングパットを沈めて初めて笑顔を見せてくれましたね。

画像: 表情を無にし心拍数と気持ちを低くキープしたことで安定したプレーを見せた(写真は2021年の宮里藍サントリーレディス 写真/姉崎正)

表情を無にし心拍数と気持ちを低くキープしたことで安定したプレーを見せた(写真は2021年の宮里藍サントリーレディス 写真/姉崎正)

もちろんメンタルだけでなく、練習日に修正したこぶし2個ぶん低くなっていたトップ位置の修正やボールに線を引いたことでパッティングがよくなったことなど、コーチ兼キャディを務める大西翔太コーチとの取り組みも功を奏しています。

飛距離218.03ヤード(89位)の青木選手が4日間の大会でコースレコードタイの記録で勝ったことは多くのプレーヤーに勇気を与えることにもなったでしょう。

この大会の勝利で、青木選手には「AIG全英女子オープン」への出場権も与えられました。日本選手で同大会の出場権を持つのは、稲見萌寧、小祝さくら、古江彩佳、原英莉花、青木瀬令奈の5選手に笹生優花、渋野日向子、畑岡奈紗選手らになります。まだ出場を明言していない選手もいますが、カーヌスティGLで開催される「AIG全英女子オープン」も楽しみになってきました。

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