私はメンタルコーチとしてゴルファーをはじめ、他競技のアスリートが本来の実力を試合で発揮できるようにメンタルトレーニングしています。あなたは自分のゴルフの力をラウンドで発揮することができていますか? アマチュアの方もプロの方もコンペや試合で力をしっかりと発揮することは簡単ではないです。そして、実力の発揮を邪魔する要因として試合特有の思考が上げられます。
どうしてもラウンド、コンペになれば「少しでも良いスコアを出したい」「良いショット、良いマネジメントをしたい」「少しでも良い順位でまわりたい」「〇〇さんには勝ちたい」と本番だからこそ出てくる思考があります。このような思考が出てくることはいたって普通のことではありますが、実はこの思考が自分のプレーを狂わせている要因になっているケースが多くあります。
スコア、ショット精度、順位、勝利……これらはすべてプレー後に結果としてついてくるものです。スポーツ心理学では、試合本番は結果目標より行動目標に注意を向けることが推奨されています。つまり、学術上の理論で言うと「試合では結果を考えないほうがいい」のです。結果は自分ができることを遂行したあとに出るものだからですね。
しかし、これを体現することが簡単ではないので私はサポートする選手にいくつかの選択肢を用意し選手自身に適したマインドセット(考え方)を選んでもらうようにしています。今回はそのうちの2つを紹介していきます。
すでに結果は決まっている
一つ目が「すでに結果は決まっている」というマインドセットです。前日練習を終えた時点で自分の能力が試合当日に変わることは基本的にありません。準備が終えた段階で当日のスコアや結果がどうなろうとそれは過去の練習の積み重ねや準備の結果であり、当日はコントロールできないこととしてとらえ、やるべきプレーやマネジメントを淡々と遂行するだけという状態です。
このマインドセットでいけば1ホール、1ホールの結果やアクシデントに一喜一憂することは減りそうですよね。ちょっとゴルフが味気ないものになりそうな気もしますが。
起きたことや出た結果は知らせでしかない
二つ目は想定外のミスや出る結果や課題は自分への今後の成長につながる良い知らせでしかないと考えることです。
あるレジェンドゴルファーは起きることすべてに「感謝をする」とまで言われていました。ゴルフはミスがあるスポーツです。そのミスに対していちいちへこんでいたらメンタルは持ちませんし、その後のプレーにずるずると悪影響もあります。
むしろ、そのミスに対して「何かの知らせ」ととらえることで動じないメンタリティに近づきます。「すべてに感謝する」までの境地に立たなくても、コースで起きるすべての出来事を受け入れる心構えがあれば失敗やアクシデントに一喜一憂することも減るでしょう。
あなたは一つ目の「すでに結果は決まっている」と二つ目の「起きたことや出た結果は知らせでしかない」のどちらのマインドセットが取り入れやすいでしょうか? これらのマインドセットを少しでも取り入れることでラウンドでのメンタルがかなり楽になるはずです。未来の結果や過去に出た結果を意識することで作り出していたプレッシャーが軽減され、「いつもの自分」をコンペや試合でも出すことにつながるでしょう。
もちろん競技レベルが上がり、人生を懸けてゴルフをするプロゴルファーになれば今日紹介したマインドセットを持つ事ことは簡単ではないかもしれません。しかし、一度このような意識で試合をすることにチャレンジすると「結果を意識しないほうが結果が出る」という達成経験をすることになるかもしれません。今回のテーマが自分に必要だと感じた方はぜひ次回のゴルフで試してみてほしいと思います。