PGAツアー「ロケットモーゲージ・クラシック」を制し、初勝利をモノにしたキャメロン・デービス。日本ではあまり聞き馴染みのない名前だが、デービスは一体どんな選手? 海外ツアー取材歴20年の大泉英子に紹介してもらおう。

松山英樹のコロナ陽性やフィル・ミケルソンの過去のギャンブル問題に関する記事にまつわる遺恨、ブライソン・デシャンボーのキャディとのコンビ解消など、さまざまな話題が飛び交った今年の「ロケットモーゲージ・クラシック」。

最終日は前週の「トラベラーズ選手権」に続き、長時間に渡るプレーオフの末、オーストラリアのキャメロン・デービスがPGAツアー71試合目で初優勝を遂げて幕を閉じた。

画像: PGAツアー「ロケットモーゲージ・クラシック」を制したキャメロン・デービス(写真/Getty Images)

PGAツアー「ロケットモーゲージ・クラシック」を制したキャメロン・デービス(写真/Getty Images)

ホアキン・ニーマン、トロイ・メリット、キャメロン・デービスの3人によるプレーオフとなったが、1ホール目でボギーを叩いたニーマンが脱落。その後4ホールに渡り、デービスとメリットとの一騎打ちが続き、5ホール目のパー3でメリットがボギー。パーセーブしたデービスの勝利が決まった。ちなみに、今季プレーオフは9試合目。5ホール以上のプレーオフが2週連続で行われたのは、今回が初めてである。

今大会の優勝で、今季7人目の初優勝者が誕生。フェデックスカップランクは34位に浮上し、フェデックスカップ最終戦への出場の可能性が出てきた。そして来月、自身初のWGCイベント、「フェデックス・セントジュードインビテーショナル」に出場することが決まり、来年1月の「セントリートーナメント・オブ・チャンピオンズ」、「マスターズ」などへの出場権もゲット。そして賞金で約1億5000万円を獲得できたことも大きい。

「夢みたいだ。以前から優勝争いには何回か加わったことがあったけど、こうしてスコアを伸ばすゴルフで優勝できたのは素晴らしいね。(5ホールのプレーオフ中の)精神状態は、試合中とほとんど同じだった。優勝したいなら、ただひたすらいいショットを打ち、バーディパットを決めること。本当に落ち着いていた。いいパットも決まったし、大事な場面でソリッドなショットも打てたよ」

さて、キャメロン・デービスについて、あまりご存知ない方もいると思うので、ここで少しご紹介しておこう。 

彼は1995年生まれの26歳。オーストラリア・シドニー出身で、子供の頃はクリケットやテニス、サッカーなど、ゴルフ以外のスポーツも経験したという。

アマチュア時代には「オーストラリアアマ」や「アイゼンハワートロフィ」の個人戦で優勝。2009年「オーストラリアン・マスターズ」で初めてタイガー・ウッズを見たのが衝撃的だったそうだ(タイガー・ウッズが優勝)。

2016年にプロ入りし、2017年には母国のナショナルオープン「エミレーツ・オーストラリアンオープン」でジェイソン・デイ、ジョーダン・スピースを退け優勝。コーンフェリーツアーやPGAツアーカナダなど下部ツアーを経験し、2019年からPGAツアーを転戦中だ。193センチと長身で、平均飛距離は308.6ヤード(17位)。現在はアメリカ人女性と結婚し、シアトル在住。日本食が大好きなのだという。

そんなデービスが現在、ちょっと不自由を感じていることがある。スウィングコーチが現在、オーストラリアにいるため、その場でスウィング指導を受けることができないということだ。

「コーチはオーストラリアにいるんだけど、2019年の年末以来、(コロナウイルスの影響で)会えていないんだ。電話では何度も話をしているんだけど……。スウィング作りという意味ではやりづらい状況ではあるが、それでも今のようにスウィングも出来上がっているから問題ないね」

だが彼には、心理学者のニール・スミス氏がついており、そのことが精神面の安定に大いに役に立っている。

「彼は1ヶ月前、少し疲労が溜まっている感じだったけど、(メモリアルトーナメントで予選落ち後に)3週間のいい休みが取れて、いいリセットになったと思う。ここにきていいプレーができてたよ。ここ数年の彼の選手として成長しており、今後はもっと大きな舞台で活躍できるようになるだろうね」とスミス氏は語っている。

キャメロン・デービスのプロゴルファーとしての人生は、今回の優勝を機に大きく変わってくることだろう。シード権を獲得し、メジャーやWGCイベントなど、世界の大舞台に出場する経験が増えてくるが、今後も好成績を積み重ねれば2022年の「プレジデンツカップ」への出場も夢ではない。

This article is a sponsored article by
''.