今回はスウィングの動きで重要な股関節の使い方についてお話していきますね!
ゴルフスウィングは、前傾角度を保ちながら体を回転させるのが特徴です。よく、「腰を回す」と言われますが、骨格上、腰周り(腰椎)は2〜5度くらいしかねじれません。そのため、上半身の動きは胸や首(胸椎や頸椎)周りを動かして、体を捻転させていきます。
そして、下半身の動きでは、腰ではなく、左右の股関節を上手に動かして、骨盤ごと上半身を右、左へと入れ替えていくのです。
前傾角度を崩さずに、胸椎や頸椎の回転運動を行うためには、それら背骨の土台となっている骨盤全体を前傾させる必要があります。股関節を屈曲(折り曲げる動き)させて骨盤を前傾させると、骨盤の上に背骨がポンと乗る感じになり、胸を回せる姿勢が完成するのです。
前回までに、アドレスの理想は、腰が反ったり、猫背にならず、ニュートラルに構えられる「N字姿勢さん」だとお伝えしましたが、N字姿勢さんは股関節を屈曲させて骨盤を前傾させることができているのです。
一方、お尻を落とすように骨盤が後傾した姿勢になってしまう猫背の「C字姿勢さん」は背骨をうまく回転することができませんし、股関節も動かしにくい。そのため、上半身の捻転も、股関節を使うこともできないのです。これが、まずはアドレスを大事にしてもらいたいという理由です。
それでは股関節の力とは一体どんなときに発揮されるのでしょうか? 目の前にある重たい荷物を持ち上げることを例に、考えてみましょう。
重たい荷物を持ち上げるとき、股関節を屈曲せずに持ち上げようとすれば、負担は腰に集中し、ぎっくり腰になってしまうかもしれません。しかし、股関節を屈曲した“腰を入れた”状態を作ってひざを曲げ、股関節を伸ばす動きを使えば、怪我なく重たい荷物を持ち上げることができるのです。
パワーの源である股関節の力と、上半身のねじれをミックスして使うことで、スウィング中における回転のスピードが上がり、非力な女性でも遠くに飛ばすことが可能になるのです。
そして、下半身の動きは自分で感じ取ることが大切です。バックスウィングでは右股関節に真上から荷重し胸を左に回して始動します。股関節の上に体重を乗せられないと、前傾が崩れたり、スウェイするなどして、スウィング軸が保てなくなってしまいます。
コツはアドレスで作った股関節の屈曲した状態、グッとはまっている関節をずらさないようにすることが大切です。
そのためには、腰回りの筋肉である「腸腰筋」が必要になります。腸腰筋は前傾姿勢を保つための重要な役割を果たしています。腸腰筋は背骨を中心とした上半身の体幹を安定させ、支える役割があります。つまり、腸腰筋が衰えてしまうと、体幹が崩れ、前傾も崩れてしまいます。
これは歩くことの少なくなった座り仕事の多い方に起きがちなエラーなのですが、アドレスで股関節からの前傾姿勢ができても、スウィング中に姿勢が崩れてしまう人は腸腰筋のトレーニングが必要です。
腸腰筋は「歩く」ことで鍛えることができます。ポイントは股関節(足の付け根)から足を振って歩くこと。足を上げて階段を一段飛ばしで上がることでも鍛えられます。もちろん健康にもいいことなので、普段の生活からスウィングに効果的な運動を是非取り入れてみてください。結果的に、スウィング中の前傾キープにもつながると思いますよ!