「上手い人は靴ひもを結ぶ」という話があります。
上手い人ほど履く際に一度キチンとゆるめ、座って足を入れ、その後ひもなり「BOA」なりを締める。逆にいうと、上手い人で靴ひもをほどかずに足を入れ、つま先をトントンして履く人はいない、ということ。これは私もたしかにそうだなと思います。ゴルフに限らず、「靴ひもを一度ゆるめてから履く」ことをしないプロスポーツ選手って、ちょっと想像できませんよね。
私の周りを見渡してみても、上手い人ほど技術「以外」の部分での準備がしっかりとできています。
たとえば、上手い人は総じてスタート時間ギリギリにコースに来る、ということがありません。もちろん事故渋滞などにつかまってギリギリになるケースがないことはないでしょうが、基本的には一通りの練習やストレッチを終えたあと、ゆっくりコーヒーが飲めるくらいの時間にコースに着いています。
これは「ゆっくり練習できる」ことだけがメリットではないんです。「スタートに間に合わないからクルマを飛ばす」なんてことをしてしまうと、そもそも危険ですし、焦りから心拍数も上がり、プレーする前からリズムが崩れた状態になってしまいます。はあはあいいながらティーイングエリアに現れて、ティショットがフェアウェイど真ん中……ってことはなかなかありません(笑)。
あと、非常に地味な点ですがランチであまり重たいものを食べない人も多いです。ゴルフ場の食事はおいしいですが、ラーメンにチャーハン+アルファのセットのような重たいものを食べると、しばらくは消化にエネルギーを使ってしまいますからね。
また、たとえば夏であれば熱中症対策にもより気を使っているケースが多いと思います。日焼け止めはもちろん、サングラスや着替え、氷のうなどを用意し、日傘も差す。対策をせずにプレーした場合と熱中症のリスクは大きく異なりますし、そもそも体力の消耗度がまったく違います。
これらはすべて技術とはなんの関係もありませんが、すべてを実行した場合と、すべてを実行しなかった場合では、スコアがハーフで3打、4打平気で変わってしまうと思います。
かつて、野球のイチロー選手は「準備とは言い訳の材料を排除すること」という趣旨の発言をしたそうです。準備って、もしかしたら次のラウンドから使えるもっとも即効性の高いスコアアップの方法なのかもしれません。