あなたはゴルフにおいてのジンクスに影響を受けていますか? 私は沢山の競技ゴルファーのメンタルトレーニングをしてきましたが、多くのゴルファーがこのジンクス的な要素に影響を受けています。
たとえば「この会場は苦手で試合になるとスコアが出ない」「良い結果が出た次の試合は成績が出ない」「このカラーの服で試合に挑んだときはゴルフが良い(悪い)」「前半のスコアが良すぎると後半崩れてしまう」「出だしのティショットが良いとスコアが出る(悪いとスコアが出ない)」などです。
あなたも上記のような思考に心当たりはありますか? 誰もが少なからずこのようなジンクスを持っているものです。
ちなみにジンクスの定義を改めて確認しておくと、日本国語大辞典では「縁起の悪いこと、または縁起の良いこと。また、縁起をかつぐ対象となるものごと」と出てきます。つまり、〇〇の状況になれば良いこと・悪いことが起こるという思い込みや傾向のことを一般的にはジンクスと呼んでいるのです。
プロ野球界にも2年目のジンクスという有名な言葉がありますよね。新人の年に活躍した選手や2年目以降でブレイクした若手選手が次年度のシーズンに成績が下がり成績を残せない現象がそう呼ばれています。活躍した選手はこのジンクスのおかげでまわりから「2年目のジンクスにならないようにね」などと言われることでそれを意識してしまう選手も一定数いるのでしょうね。
さて、話をゴルフに戻していきます。「〇〇の状況になったら□□が起きる」という思い込み=ジンクスがゴルファーにどんな悪影響を与えているか。それは一言で「マイナスイメージにつながる」ということです。
改めてゴルファーが過去に話してくれたジンクスをいくつか紹介しましょう。
・最初のティショットをミスするとその日は調子がでない
・このゴルフ場の5番ホールではOBなどのミスが出る
・〇〇さんとラウンドするとスコアが出ない
・右に池があると左に曲げてしまう
・前半のスコアがいいと後半は崩れる
・朝これを食べないと調子が出ない
たとえば「朝イチのティショットをミスするとその日は調子がでない」という思い込みがあると、実際に最初のティショットが悪かった時に「今日は調子がでない」というイメージが頭を占拠します。これはもっと言えば「今日は調子を出さないでくれ」と脳に指令を出しているようなものです。
私たちの動きはイメージに影響を受けます。右に曲げたくないと思うと脳内では「右に曲げる球筋イメージ」が自然と出ます。そのまま打つとイメージが体に連動し右に曲げる可能性が上がります。それに対応するために「右に曲げたくないから左に打つ」というイメージを描いた場合、イメージが体に連動し左寄りまたは左に曲げるようなスウィングになってしまうかもしれません。
「前半のスコアがいいと後半は崩れる」というジンクスは、後半に入るとスコアが崩れるというイメージが漠然とした不安やショット、アプローチ、パターでのミスイメージにつながっている可能性もあります。
このように、ジンクスの問題点はそれにより作動するマイナスイメージがスウィングやプレーに影響することです。
それでは、どのようにこのジンクスに対処すればいいのでしょうか。結論から言うと「ジンクスはただの思い込みであり事実ではない」ということを“客観的に自己説得する”ことです。
例えば「最初のティショットをミスするとその日は調子が出ない」という考えを客観的に観てあなたはどうとらえますか?
最初のショットが悪かったらその後のショットが悪くなることは過去の体験で学習した考えであり“事実”ではありませんよね。逆に言うと最初のショット良かったからその後17ホールが調子良くプレーできるとも限りません。本来は1ホールごとにプレーの時系列もホールの形状も違う別物ですからね。
このように客観的に観ていけば「最初のティショットが成功しようがミスしようが1ホールの結果でしかない」のです。それを最初にミスしたら1日悪いと意味づけているのは私たち自身なわけです。このように自分のパフォーマンスを制限しているジンクスについては客観的に疑うことが大切ですよ。