あえてオリンピックに出場せず万全の態勢で臨む選手も
「オリンピック・男子ゴルフ」は、ザンダー・シャウフェレ(米国)の金メダル、ローリー・サバティーニ(スロバキア)の銀メダル、C.T.パン(台湾)の銅メダルで幕を閉じたが、PGAツアーは今週の「WGCフェデックス・セントジュードクラシック」、翌週の「ウィンダム選手権」を終えたあとに、2020〜2021年度のフェデックスカップ王者を決める「フェデックスカッププレーオフ」へと突入。今季の試合もわずか5試合というクライマックスを迎えている。
オリンピックに出場直後に渡米し、「フェデックス・セントジュード」から再スタートを切る世界ランク上位者も大勢いる一方、オリンピックにはあえて出場せずに米国内に留まり、万全の体勢でフェデックスカップで上位を狙いたいパトリック・カントレー、ルイ・ウーストハイゼンのような選手もいる。
ダスティン・ジョンソンやアダム・スコットら、前回のリオ五輪同様に早々にオリンピック出場を辞退していた選手もいるが、オリンピックそのものに興味をあまり持っていないか、あるいは、海外への渡航によって体調を崩したくない、という健康上の理由から出場しなかった選手も何人かいる。前者2名はすでにコロナに感染しているが、やはり「フェデックスカッププレーオフ」で上位を狙うための準備を整えたい、というのが本音だろう。
プレーオフ最終戦の「ツアー選手権」は、「ノーザントラスト」「BMW選手権」の2戦終了時点で上位30名以内に残らないと出場できないPGAツアーエリートのみの大会のため、最終戦に出ること自体がステータスとなっている。フェデックスカップで総合優勝を遂げると、優勝賞金で10億円超のビッグボーナスがもらえるが、世界のトッププロたちにとってもこのボーナスは嬉しい副産物であり、その年のNO.1に輝くことは大きな目標の一つでもある。
ライダーカップを目指すセルヒオ・ガルシア
また、オリンピックに出場しなかった選手にセルヒオ・ガルシアもいるが、彼の思惑はまた別のところにある。彼は9月に開催される「ライダーカップ」にどうしても出場したいのだが、ランキング的には資格を満たしていない。
ヨーロッパチーム入りを果たすには、自力で「ライダーカップランキング」で9位以内にランクインするか、あるいはキャプテン推薦3名の中に入るかしかないが、ガルシアの場合は現在のところ19位。彼よりも上位で、現在ランク外のロバート・マッキンタイヤ、ビクトル・ホブラン、リー・ウエストウッド、シェーン・ローリーらを上回る活躍をパドレイグ・ハリントン主将にアピールしないとメンバー入りは非常に難しい立場にいる。
彼もすでにコロナウイルスに感染しているため、健康上の理由でオリンピック出場を辞退したのではないかもしれない。おそらく、フェデックスカッププレーオフに備えてじっくり腰を落ち着けて練習し、「ライダーカップランキング」を上げることに集中したかったはずだ。
現在、フェデックスカップランキングの上位者は以下の通り(8月3日時点)。金メダリストのザンダー・シャウフェレ、惜しくも銅メダルを逃したコリン・モリカワ、今年のメジャーで3回優勝を逃したルイ・ウーストハイゼンらの存在は、総合優勝の最有力候補と言っていいだろう。
また、オリンピックに出場予定だったが、コロナ感染でやむなく直前で欠場したジョン・ラーム、ブライソン・デシャンボーといった2人のイケイケ「全米オープン」チャンピオンたちの動向も気になるところ。「マスターズ」チャンピオンの松山英樹も22位につけており、今後の展開によっては王者を十分狙える位置にいる。
【フェデックスカップランキング上位30名(8/3時点)】
1.コリン・モリカワ(五輪)
2.ジョーダン・スピース
3.パトリック・カントレー
4.ジョン・ラーム
5.ハリス・イングリッシュ
6.ルイ・ウーストハイゼン
7.ブライソン・デシャンボー
8.ジャスティン・トーマス(五輪)
9.ビクトル・ホブラン(五輪)
10.ザンダー・シャウフェレ(五輪・金メダル)
11.ジェイソン・コクラック
12.ブルックス・ケプカ
13.サム・バーンズ
14.ホアキン・ニーマン(五輪)
15.ダスティン・ジョンソン
16.キャメロン・スミス(五輪)
17.スチュワート・シンク
18.エイブラハム・アンサー(五輪)
19.パトリック・リード(五輪)
20.スコッティ・シェフラー
21.ダニエル・バーガー
22.松山英樹(五輪)
23.トニー・フィナウ
24.ビリー・ホーシェル
25.ローリー・マキロイ(五輪)
26.マックス・ホマ
27.コーリー・コナーズ(五輪)
28.イム・ソンジェ(五輪)
29.チャーリー・ホフマン
30.ケビン・ナ
*五輪:オリンピック出場選手
「オリンピック」の後は、フェデックスカップ王者決定戦に注目が集まる。