前回までは、左手と右手それぞのグリップの種類とそのメリットについてお話してきました。最後はこの両手の握り方について説明したいと思います。
左手と右手の絡め方にはオーバーラッピング、インターロッキング、テンフィンガーの主に3種類あります。共通しているのは、右手と左手の間に隙間がない点です。
かつては後述するベースボールグリップが主流で、左手と右手の間隔を空けて握る人もいたそうですが、隙間があると両手の一体感が生まれず、クラブをスムーズにスウィングすることができないため、飛距離と安定性に欠けていたそうです。1887年になるとグリップを握る手が2.5センチ離れるごとに飛距離はおよそ9メートル落ちると警告されています。
現在主流の絡め方は両手の一体感を出しつつも、それぞれ異なるメリットがあります。ではそれぞれ詳しく見ていきましょう。
右手の感性を活かしやすい「オーバーラッピンググリップ」
左の人差し指の上に右手の小指を乗せて握るもっともポピュラーな握り方が「オーバーラッピンググリップ」です。
このグリップが主流となったのは、19世紀末から20世紀初頭にかけてゴルフ界を制していた、全英オープンを過去最多優勝回数6回(歴代1位)を誇る、ハリー・バードンがオーバーラッピンググリップでプレーしていたことが影響しています。圧倒的な強さに多くのゴルファーが彼のグリップを真似しました。そのため、バードン・グリップとも呼ばれています。
3種類の中では比較的、右手の感性を活かしやすい握り方です。この握り方で右手を使い過ぎてしまう人は【2】のインターロッキング・グリップを試してみましょう。
両手の密着感が強くグリップの形が崩れにくい「インターロッキンググリップ」
オーバーラッピンググリップの変形が「インターロッキンググリップ」。左手の人差し指と右手の小指を絡める握り方です。
このグリップはスーパーヒーローのタイガー・ウッズが採用しています! タイガーを見て育った世代に非常に多いグリップです。そんなタイガーは子供の頃から憧れていたジャック・二クラウスの真似をしたと言っています。
この握り方は【1】のオーバーラッピンググリップと比べると、右手の小指に力が入りにくくなります。手の密着感が強いので、スウィング中グリップの形が変わりやすい非力な方にお勧めします。フィニッシュまで崩れにくいので安心感のある握り方ですよ。
右手のリストターンを抑える「テンフィンガーグリップ」
3つめは「テンフィンガーグリップ」。その名の通り10本の指でクラブを握るグリップで、左右の指を絡めずに左の人差し指の隣に右手の小指がくるように10本の指で握ります。
右手がグリップに密着しているので右の手首の動きがより制限され、リストターンを抑えた力強いインパクトでボールをヒットすることができますよ。ただ、ぎゅうっと力一杯握ってしまいやすいので力まないように気を付けましょう。
このグリップはベースボールグリップとよく似ていますが野球のバットと同じように握らず、右手の親指と人差し指の作ったY字が右の首と肩の間を指すポジションに収まるように注意して下さい。
さて、3種類の両手の絡め方をご紹介してきましたが、どれが合うのかはゴルファーのタイプによって異なるので、まずはそれぞれ試してみることが大事。自分にとってスウィングのエネルギー効率が良く、インパクトでスクェアにボールをヒットできる両手の絡め方を見つけてください。