長く変則的だったPGAツアーの20-21年シーズンが終わろうとしている。2度のマスターズと全米オープンを含む6度のメジャーが同一シーズンに行われたのは史上初。無観客、さらに厳しいコロナガイドラインありと異例づくめだった日程は今週開催のウィンダム選手権でレギュラーシーズンを終え、3試合のプレーオフシリーズに突入する。ポイントランク上位125位に入らなければシードを失い下部ツアーとの入れ替え戦に臨まなければならない。オン・ザ・バブル(当落選上)のビッグネームたちの顔ぶれとは?

もっとも注目されているのはリッキー・ファウラーだろう。15年のプレーヤーズ選手権に優勝しているので5年シードは23年まで有効ではあるが、ファウラーほどの選手がトップ125に出場が許されるプレーオフシリーズ進出を逃すとなると一大事。

画像: 現在リッキー・ファウラーはフェデックスカップランク130位。現在開催中のウィンダム選手権で結果を出せなければプレーオフシリーズ進出は叶わない(写真は2021年の全米プロゴルフ選手権 撮影/Blue Sky Photos)

現在リッキー・ファウラーはフェデックスカップランク130位。現在開催中のウィンダム選手権で結果を出せなければプレーオフシリーズ進出は叶わない(写真は2021年の全米プロゴルフ選手権 撮影/Blue Sky Photos)

崖っぷちで挑んでいるウィンダム選手権初日は1オーバー71、130位タイと出遅れ予選通過に黄信号が点った。このままではポイントランク130位以下が確定。それでもファウラーは気丈にこう語る。

「自分が置かれた立場を常にありがたいと思ってきた。最近よく(3度の白血病と闘い命尽きたプロ)ジェラルド・ライルのことを思い出すんだ。世の中にはガンに侵されたり、死の恐怖と戦ったり健康問題に直面している人たちが大勢いる。そういう人たちのことを思えば自分がいかに恵まれているに気づく。感謝しながら前に進むしかない」

ファウラー以外のビッグネームは元世界ランク1位のアダム・スコットとジャスティン・ローズ。現在スコットはポイントランク121位でウィンダム選手権初日19位タイ。予選さえ通ればプレーオフシリーズ進出が決まる。しかしシリーズ2戦目のBMW選手権に進むためにはトップ70入りが条件のためプレーオフ初戦が重要になる。

画像: アダム・スコットは現在フェデックスカップランク121位(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

アダム・スコットは現在フェデックスカップランク121位(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

スコットは現在バハマに住んでおり、アメリカでの試合に出場するには自主隔離期間も多くゴルフ以外の心配ごとが多かったことも成績不振の遠因のようだ。

一方ローズはタイガー・ウッズがセンセーショナルな復活優勝を飾った3年前のツアー選手権で上位に入りその年の年間王者に輝いた。しかしここ2年本来の輝きを失い現在の世界ランクは48位。ポイントランクも138位でプレーオフシリーズ落選の危機に瀕している。

他にもマット・クーチャー(ポイントランク124位)やトミー・フリートウッド(同ランク136位)がオン・ザ・バブル。コロナの恩恵といっては語弊があるがそのお陰で1年シードが伸びたポイントランク150位の小平智は、ウィンダム選手権で108位タイと出遅れ来季のPGAツアー参戦の道は事実上絶たれた。

ゴルフは浮き沈みのあるスポーツだけに誰にでもスランプに陥る時期はある。裏返せばどんなに実績のあるプレーヤーでも突如泥沼にハマり抜け出せなくなることもある。逆にスランプに苦しみ昨年ポイントランク107位だったジョーダン・スピースのように今季見事に復活を遂げ現在のランキングはコリン・モリカワに続く2位という例もある。ゴルフは摩訶不思議なスポーツだ。

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