ツアー史上最多タイの「6人プレーオフ」を制し優勝！ ケビン・キスナーが描く野望

一気にシーズン総合優勝も狙える位置に

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2019〜2020年のPGAツアーシーズンの試合の延期により、繰越試合が開催されることも多かった2020年〜2021年PGAツアー。「マスターズ」や「全米オープン」などが1シーズンで2回開催されたぶん、通常よりも試合数が多く、長いシーズンとなったが、先日の「ウィンダム選手権」でようやくレギュラーシーズンが終了。最終戦の同大会では、ツアー史上最多タイ記録の「6人によるプレーオフ」で優勝者が決まり、ケビン・キスナーがツアー4勝目を飾った。

ちなみにプレーオフに進出した選手にはアダム・スコット、ブランデン・グレース、キム・シウー、ロジャー・スローン、ケビン・ナがいたが、キスナーは過去、5回のプレーオフを経験し、1度も優勝したことがなかった。　

「正直言って、残り3〜4ホールの時点でも優勝のチャンスがあるとは思わなかったんだ。1日中リーダーボードは見ていなかったけど、16番でバーディを獲ったあと、ボードを見たら首位と1打差だとわかった。今年はプレーオフで負けたり、ゲームがうまくいかなくて苦戦することも多かったが、こうして優勝して『フェデックスカップ・プレーオフ』に進むことができ、総合優勝できるチャンスも得られたのは素晴らしい1週間だった」

今大会の優勝で、フェデックスカップランキングで69位から29位にジャンプアップ。8年連続でプレーオフに駒を進めた上、プレーオフ最終戦「ツアー選手権」への出場圏内にも飛び込んできた。「ツアー選手権」は、プレーオフ第2戦「BMW選手権」終了時点で上位30名のみが出場できるエリート試合となっているが、毎年キスナーは同大会に出場することを目標に掲げてプレーしている。

総合優勝すれば約16億円というビッグボーナスも得られるが、今週から始まるプレーオフの試合（『ノーザン・トラスト』『BMW選手権』の2戦）での活躍次第では、総合優勝の可能性も十分ある位置につけることができた。

だが、彼の野望はそれだけに終わらない。米国ウィスコンシン州のウィスリングストレーツで開催される「ライダーカップ」が9月下旬に開催されるが、人生初のメンバー入りを果たしたいと考えている。米国チームの主将は、スティーブ・ストリッカー。米国チームは全12名の選手のうち、ライダーカップ・ポイントランキング上位6名は自動的に決まり、残りの6名はキャプテン推薦によって決まる。

キスナーは「ウィンダム選手権」で優勝したものの、ランキング上では18位。「BMW選手権」終了時点でキャプテン推薦の選手が発表されることになっているが、彼の場合、少なくとも残り2試合のうち1試合は優勝しないと、ストリッカーの推薦リストにその名を連ねることは難しいだろう。

「ボクはストリッカーが大好きだ。彼は素晴らしい友達だし、ナイスガイだ。国を代表してプレーしたいと思うし、そのチーム入りを果たしたいけど、そのためにはプレーオフでもいいプレーをし続けないといけない」

プロ入り後、チームイベントでは2017年の「プレジデンツカップ」に出場したことはあるが、「ライダーカップ」は未経験。「プレジデンツカップ」では4戦中、2勝2引き分けという負けなしの成績を残し、2019年「WGCデルテクノロジーズ・マッチプレー」でも優勝している。「ライダーカップ」で採用されているマッチプレー方式のプレーも比較的得意といっていいだろう。

マッチプレーはショット力もさることながら、パッティング力がものをいうが、ストロークゲインド・パッティング部門でツアー12位の彼は、パッティングに対して「自分はパッティングがうまい」とかなりの自信を持っている。

キスナーが今からポイントランキングで自力で出場権を獲得することは不可能だが、残り2試合の成績によって推薦出場は可能となる。気を引き締めて2大会に臨み、その活躍ぶりがストリッカーの目に止まれば、彼にとって最高のシーズンエンディングを迎えることができるだろう。