今週開催の「フォーティネット選手権」からPGAツアー2021-22シーズンが開幕となる。新型コロナウィルスの影響で異例のスケジュールとなった昨シーズンから例年通りに戻ったかと思いきや、これまでにない新たな試みも!? 海外ツアー取材歴20年の大泉英子がレポート。

「マスターズ」や「全米オープン」など、コロナウイルスの影響で延期され、同シーズンに2度行われる試合があるなど、イレギュラーなスケジュールとなった2020〜2021年PGAツアー。若手の初優勝者や、複数回優勝者を多く輩出する異例のシーズンとなったが、先日開催された最終戦「ツアー選手権」でジョン・ラームとのデッドヒートの末、優勝を飾ったパトリック・カントレーが、この長いシーズンを戦い抜き、総合優勝を飾った。そしてPGAツアーは早速今週から、2021〜2022年シーズンが開幕する。

今季のスケジュールを見ると、メジャーも4試合に戻り、同じ大会が2回開催された昨年と違って通常通りに戻っているように見える。しかし、過去前例のない画期的な試みが組み込まれていることに気づくだろう。

昨年の11月、米PGAツアーとヨーロピアンツアー(以下、欧州ツアー)が戦略的な業務提携を結ぶことが発表されたが、今季からのスケジュールに早速それが表れている。「バルバソル選手権」(7月7〜10日)、「ジェネシス・スコティッシュオープン(7月7〜10日)」、「バラクーダ選手権」(7月14〜17日)と7月の3試合は、欧米両ツアー共催試合となったのだ。

つまり、これらの試合に出る選手は、米ツアーメンバーなら「フェデックスカップポイント」やPGAツアーでの賞金が加算されるし、欧州ツアーメンバーなら、「レース・トゥ・ドバイ」のポイントと賞金が加算されるのだ。

「欧米両ツアー共催試合」は「全英オープン」の前週に開催されるが、従来であれば米ツアーメンバーが「全英オープン」の前哨戦の「スコッティッシュオープン」に出場して予選を通過しても、米ツアーの賞金ランキングには反映されなかったし、フェデックスカップポイントも獲得できなかった。それが今季からは、「全英オープン」の前にイギリスに渡り、現地で調整しようという米ツアーの海外遠征者にとって、1試合も無駄にすることなく、米ツアーの賞金とポイントを獲得できるチャンスが広がった、というわけだ。

過去、「スコティッシュオープン」に出場したことのなかったハリス・イングリッシュは次のように語っている。

「来年は絶対にスコティッシュオープンに出て、(全英オープンまで)2週間プレーするつもりだ。最高だね。僕はもっとヨーロッパでプレーしたいと思うし、来年以降はヨーロッパに行く選手も多くなると思う」

逆に欧州ツアーメンバーにとっても大きなメリットがある。「いつかは米ツアーに行きたい」と世界最高峰のPGAツアーを目指す選手達が「ジェネシス・スコティッシュオープン」で優勝すると、2年間の米ツアーのシード権が与えられるのだ。また、7月上旬の段階で「全英オープン」への出場資格がない選手は「バルバソル選手権」からアメリカに渡れば「バラクーダ選手権」までの米ツアー2戦に出場できる。選手達にとっても、放映権を持つテレビ局やスポンサーにとっても、ゴルフがさらにグローバルに視聴され、注目を集める大きなチャンスとなるだけに、期待は大きい。昨今のサウジアラビアの「プレミアゴルフリーグ」発足に対抗するため、両ツアーの提携が早まったとも言われており、今後の両ツアーの提携は、さらに大きなものに発展していくだろう。

さて、その他の試合について特筆すべき点があるとすれば、10月に再び「ZOZOチャンピオンシップ」が日本に帰ってくることだろう。翌週の上海で開催される「HSBCチャンピオンズ」が急遽中止になったため、アジアでの試合はZOZOの1試合となったが、それでも日本にやってくるトッププロ達が大勢いることを願いたい。少なくとも2020〜2021年フェデックスカップチャンピオンのパトリック・カントレーは、今大会のディフェンディングチャンピオンでもある。彼が習志野でどのようなプレーを披露するかを見てみたいゴルフファンも多いはずだ。

また、コロナパンデミックの影響で2年間開催できなかった「RBCカナディアンオープン」が3年ぶりに開催される。そして来年は、クエールホロークラブで「プレジデンツカップ」が開催されるため、通常同コースで開催する「ウェルズファーゴ選手権」は来年だけ、メリーランド州のTPCポトマック@アベネルファームで行われることになった。

今季のシード権を失ってしまった選手の中には、トミー・フリートウッド、ジェイソン・ダフナー、アン・ビョンフンなどがいるが、一方、松山英樹の優勝した「マスターズ」で大活躍したウィル・ザラトリスや最近リーダーボードの上位で名を連ねることも多い、南アのクリスチャン・ベフーズンハイトなどが今シーズンからシード選手としてプレーする。

画像: 松山英樹は開幕戦「フォーティネット選手権」から出場予定(写真は2021年の全米オープン 撮影/Blue Sky Photos)

松山英樹は開幕戦「フォーティネット選手権」から出場予定(写真は2021年の全米オープン 撮影/Blue Sky Photos)

そして20代の若手の活躍が光った昨シーズンだったが、今季も若手の活躍傾向は続くだろう。ジョン・ラーム、ブライソン・デシャンボーを筆頭に、松山英樹、コリン・モリカワ、ローリー・マキロイ、パトリック・カントレー、ジャスティン・トーマス、ジョーダン・スピース、ザンダー・シャウフェレ……など、活躍が期待される選手は大勢いるが、とくに松山英樹には「マスターズ」に続く、ツアー7勝目に期待。今週の開幕戦、「フォーティネット選手権」から出場するが、スタートダッシュをかけたいところだ。

最後に、タイガー・ウッズの復帰はいつになるのか? これについてはまったく予想がつかないが、リハビリが順調に進んでいる話もある。再びツアー会場で元気な姿を見せてくれることを、心待ちにしたい。

 

 

 

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