ティショットを打つ前から「どうも曲がりそうだな〜」という思いが離れず、実際に打つと曲がってしまう。「人間は失敗のイメージが強く印象に残りやすいですが、それに影響されてパフォーマンスが落ちるのはもったいないですよ」というのは、プロも教えるメンタルコーチ・池努。ミスのイメージを払しょくするための具体的な対処法を教えてもらおう。

人間の生存本能で失敗のほうが強く印象に残りやすい

プロゴルファーから多くあるメンタルの相談に「ティショットのマイナスイメージをどうにかしたい」というものがあります。試合になるとティショットの乱れがあり、それが始まると止まらなくなるという経験をしたことがあるゴルファー、または継続的にそれが起こっているゴルファーの脳裏には「自分は試合になるとティショットが曲がる」というマインドセット(固定概念や信念のこと)ができてしまいます。

画像: ティショットでミスのイメージに引っ張られず、いつも通りのパフォーマンスを出すための対象法を池コーチに教えてもらおう

ティショットでミスのイメージに引っ張られず、いつも通りのパフォーマンスを出すための対象法を池コーチに教えてもらおう

そうすると試合の前日や試合当日、ティイングエリアで理想のティショットの球筋イメージではなく、どうしても曲がるショットのイメージが強く先行してしまいます。これはプロだけでなくアマチュアゴルファーにとっても解決したい課題です。今回はこのテーマについて具体的な解決手法を提示していきます。

実際に相談のあったプロゴルファーの方を例にしてみましょう。その選手に「10試合あったとしたら何試合でティショットが曲がりだすということがあるのですか?」と質問してみると「10試合あったら3~4試合ですかね」との答えが返ってきました。

逆に言えば10試合中6~7試合は曲がらないということですよね。ここで分かるのは、私たち人間は成功イメージより、失敗イメージをより鮮明に記憶する、ということです。この理由は諸説ありますが「生存本能」が失敗を記憶するように導いている説が固いと踏んでいます。

たとえばアスファルトで舗装された地面の上に、地上から2メートル高い位置にある平均台を置いたとしましょう。平均台の足幅は10センチと狭いなかで5メートルの距離を渡り切らなければいけません。

あなたは10回チャレンジして9回は成功しましたが、ラスト1回の歩行で足を踏み外し着地で膝の靭帯を痛めてしまい、全治1ヶ月のケガをしてしまいました。この場合失敗は10回中たった1回だったにも関わらず、そのたった1回で生活に支障をきたすケガをしてしまったことで、その後この平均棒を歩くときに前回の落ちたイメージが強くよみがえり「また落ちたら嫌だ」「落ちたらケガをする」と足の運びが慎重になることは容易に想像がつくはずです。

これが「生存本能」が失敗を記憶するように導いているという話です。しかし、客観的に見れば10回中9回は成功しているんですよね。1回失敗したくらいで9回の成功イメージを塗り替えられることは嫌ではありませんか?

ティショットでもそうです。10回中7回成功しているのに、3回のミスを優先して記憶して「マイナスイメージ」ばかりが先行するよりも「成功イメージ」を優先的にイメージできたほうが良いパフォーマンスにつながります。

では具体的な対処法を紹介していきます。実践してもらえればかなり状況の好転があると思いますのでお悩みの方は試してみてほしいです。

その方法とは、良いショットが打てたとき、ショット後にどんなスウィングをしてどんなボールが飛んだのかを頭の中で3回リプレイすることです。リプレイを繰り返すことで成功イメージの定着に役立ちます。

そしてミスショットをしたときは、次はどうスウィングしてどんな良いショットをしたいかをイメージしましょう。そして次に「過去の成功ショットのリプレイ」を再生するんです。

良いショットができたら成功イメージのリプレイを再生し、ミスショット後にそのミスイメージを編集して成功イメージにすり替えていかないと、そのミスショットイメージはさらに強化されていってしまう恐れがあります。簡単にできるミスイメージのアップデート法なのでぜひ試してみてほしいですね。

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