国内女子ツアー「TOTOジャパンクラシック」で東浩子プロのキャディを務めたというプロゴルファー・大谷奈千代。実際に女子プロがやっていた、奥側から手前側にかけて傾斜のついた“受けグリーン”攻略のコツを詳しく教えてもらおう。

11月4日から4日間開催された国内女子ツアー「TOTOジャパンクラシック」で、2年振りにトーナメントで女子プロゴルファーのキャディをさせていただきました!

無観客でのトーナメントは本当に静かで寂しく盛り上がりにかけてしまいます……が、女子プロのマネジメントや練習にはアマチュアゴルファーのみなさんのスコアアップのヒントになる要素が盛り沢山でした。

今回は女子プロから学ぶスコアアップのためのマネジメントをご紹介させていただきます。

ポイント【1】コースマネジメントは設計者を知ることが大切!

ゴルフコースはパー3が4ホール、パー4が14ホール、パー5が4ホール、計18ホールありますが、それぞれホールから課題のようなものがあります。その課題を読み解くためには、コース設計者を知ることがヒントになるのです!

今回トーナメントが開催された瀬田ゴルフコースは1978年にコース設計の名匠、井上誠一さんによって設計されました。

画像: 国内女子ツアー「TOTOジャパンクラシック」の開催コース「瀬田ゴルフコース」を設計したのは井上誠一氏。その設計思想を知ることでコースの傾向を読み解くヒントになるという

国内女子ツアー「TOTOジャパンクラシック」の開催コース「瀬田ゴルフコース」を設計したのは井上誠一氏。その設計思想を知ることでコースの傾向を読み解くヒントになるという

井上誠一さんはアリソンバンカーで有名なイギリス出身のチャールズ・ヒュー・アリソンさんの設計思想に影響を受けてゴルフコース設計家になったそうです。その中で、もともとある日本の地形を生かし自然と調和させつつも各ホールに個性を持たせています。

『コースは美しく、戦略的でなければならない』という信念があるので、コースからは豊かな戦略性が求められているのです。

ポイント【2】ホールからの課題を読み解こう!

テレビでプレーヤーやキャディさんがよく手に持っているコースガイドにはコースの情報がたくさんあるのですが、その中でもとくにグリーンの傾斜の度数は5ヤード刻みと詳しく記入されています。

ボールは高いところから低いところへ転がるのでトーナメント仕様の速いグリーンでプロはグリーンの傾斜を必ずチェックしています。なぜなら、グリーンの傾斜が3.5度以上になると、物理的に奥からのパットはもう止まらないのです!

実際、瀬田ゴルフコースにはイラストAのような、奥側が高く手前が低くなって大きな傾斜のついたグリーンが多めでした。なので「徹底してピンの手前から攻めること」、これが求められていました。

画像: イラストA:瀬田ゴルフコースにはイラストのようなグリーン奥から手前側に大きく傾斜したホールが多かったと大谷。こういうホールでは手前からから攻めることが大切。またフォローの風による飛び過ぎにも注意が必要だという

イラストA:瀬田ゴルフコースにはイラストのようなグリーン奥から手前側に大きく傾斜したホールが多かったと大谷。こういうホールでは手前からから攻めることが大切。またフォローの風による飛び過ぎにも注意が必要だという

ボールがよく飛ぶにはラフや湿気など、さまざまな条件がありますが、とくにわかりやすく、飛ぶ要因になるフォローの風では大きすぎる番手を選ばないようにしましょう!  強すぎる傾斜ではピンの奥5メートルにつけるよりも、手前の20~30メートルがセオリーなのです。

このように傾斜の強いグリーンでは手前からの攻略が求められるため、手前ピンと奥ピンに寄せるアプローチの技術の課題が求められています。とはいえ打ち方を変える必要はありません。おすすめの攻略法はサンドウェッジ以外にもクラブを上手に使い分け、ピッチングウェッジや9番アイアンなどのロフトの立っているクラブで転がして寄せる心の準備をしておきましょう。

画像: グリーン手前から攻める場合、手前ピンならはサンドウェッジで、奥ピンならピッチングウェッジや9番アイアンで転がして寄せるなど、クラブの使い分けで対応しよう

グリーン手前から攻める場合、手前ピンならはサンドウェッジで、奥ピンならピッチングウェッジや9番アイアンで転がして寄せるなど、クラブの使い分けで対応しよう

コース設計者の意図を読み解くことができればコースと対話ができるようになります。ナイスショットだけでなく、ホールの課題を読み解き攻略してゲームを楽しみましょう!

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