ゴルファーにはそれぞれ、とくに苦手とするプレーがあるはず。練習では克服できていても、いざ本番になるとミスしてしまう、その理由と対処法は? プロも教えるメンタルコーチ・池努に教えてもらおう。

最初のティーショット、〇番アイアン、アプローチ、パター……。ゴルファーには誰もが得意なクラブやプレー、苦手なクラブやプレーがあるのではないかと思います。

「この苦手なプレーさえ克服できればスコアも3打は縮まるのに」。そう思っても、苦手なプレーを克服することは簡単ではありません。なぜならコースでの失敗イメージが脳裏に焼き付いているからです。練習で苦手なプレーの精度を上げてもコースではどうしても「あの過去の失敗イメージ」が出てきてしまい、練習時のようなプレーができない。このようなお悩みをお持ちのゴルファーのために、今回はその苦手なプレーを克服するための対処法についてシェアしていこうと思います。

画像: 苦手なプレーを練習では克服できても、コースに出ると上手くいかない。いったいなぜ?

苦手なプレーを練習では克服できても、コースに出ると上手くいかない。いったいなぜ?

まずは上記のように、なぜある特定のプレーだけ調子がおかしくなるのか、その原因の1つを知りましょう。それは過去のコースでのミスイメージが脳裏に鮮明に焼き付くことでコース時での特定のプレー時たけ、そのミスイメージがよみがえり、体がミスイメージに近い反応、動きをしてしまうことが主な原因です。

そして、コースや試合は練習とは違い「ミスをしてはいけない」「良いスコアを出したい」という試合特有のプレッシャーにより、交感神経が優位になり、呼吸が浅くなり筋肉が硬直することも原因です。

これらの課題も次の4ステップで苦手意識を克服していきましょう。これは実際のプロゴルファーをはじめ、競技ゴルファーの方におすすめする方法です。

STEP1:練習で良いイメージをつくる

まずは理想に近い球が出るように練習していきましょう。練習で理想に近い球を出せるようになれば次はそれをコースで出すためにSTEP2を練習します。

STEP2:練習の球をコースで打つためのルーティンをつくる

次に「練習の球を打つためのルーティン」をつくります。例えばアプローチで言えば次のようなルーティンをつくります。

【1】ボール後方に立ち深呼吸をし、リラックスする
【2】ボール後方からボールをグリーンのどこに落としカップへ寄せるか、スウィングとボールの軌道のイメージをつくる
【3】ボール横へ歩きアドレスし、クラブを動かしながら理想イメージを確認する
【4】気持ちのいいテンポでボールを打つ

STEP3:ルーティンの練習をする

次にSTEP2でつくったルーティンの練習をしていきます。ボールを打つ練習ではなく「ルーティンの練習」です。自分が設定したルーティンを同じ順序、同じテンポでボールを打つまでの流れを何度も練習していきます。そして、その際のポイントがボールを打つことより、ルーティンを丁寧に決まったテンポで遂行することに集中することです。このルーティンの練習が固まってきたら次はコースで実践です。

STEP4:ルーティン通りにコースで遂行する

ラストがSTEP3で練習したルーティン通りにコースでも実践してみることです。コース特有の思考、緊張感が出てくることはありますが、決めたルーティンを丁寧に遂行することに意識を向けることで「またミスをしたらどうしよう」などの不要な雑念が減り、一打への集中力も高まります。

多くの競技ゴルファーをサポートしてきて、選手たちは苦手なプレーほど、打つまでに時間がかかると口を揃えます。時間がかかるということはそれだけ迷いや不安があり、その思考が緊張感を生み出し、その緊張が筋肉の硬直などに影響し練習とは違うスウィングになっている可能性が高いです。そして、その状態でプレーすることでミスが起こることでまた苦手意識が強化されていきます。

今回提案したルーティンの4ステップを実践することで練習の自分をコースでも出せるようになった競技ゴルファーは沢山います。苦手意識の克服のカギは何と言っても達成経験です。「コースでも練習通りにできた」という達成の回数を味わえば、そのプレー自体も好きになるはずです。あるプレーの苦手意識を克服したい方はぜひ、今回のルーティンの4ステップを試してみてほしいと思います。

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