こんにちはケンジロウです。
宮崎県のフェニックスカントリークラブにきております。そう、今週のトーナメントは秋のビッグトーナメント「ダンロップフェニックストーナメント」です。
初日は朝からずっと鉛のような厚い雲が空を覆っていましたが、2日目の今日はスカッと晴れて気持ちのいい青空が広がっていました。今週は気温も高く、ほとんどの選手は上着を脱いで半袖でプレーしていましたね。
さて、今回の話題は、「ツアーの若年化」です。今年―年間、ツアーの取材に来ていて思ったのが、「世代交代が進んだなぁ」ということ。
現在の賞金ランキング、25歳以下の顔ぶれを見てみると、
1位金谷拓実(23歳)、3位星野陸也(25歳)、18位石坂友宏(22歳)、21位大岩龍一(23歳)、24位片岡尚之(23歳)、29位古川雄大(24歳)、41位小斉平優和(23歳)、48位清水大成(22歳)、56位久常涼(19歳)などなど、フレッシュな若者がたくさんいます。
これだけ若い選手が台頭してきたのは、シードを持っていた外国人選手がコロナの影響で試合に出ていないという事情もあるかもしれませんが、それにしても女子ツアーでいうところの黄金世代にあたる22、23歳ぐらいの若者の活躍が目立ちますね。
またその下の世代もすでに増えつつあり、パナソニックオープンで勝ったアマチュアの中島啓太は大学3年生の21歳、AbemaTVツアーで勝った河本力は大学4年生でこちらも21歳。そしてAbemaで3勝して、レギュラーツアーでもすでにシードをほぼ手中にしている久常涼はまだ19歳です。
彼らの共通点は、すでにスウィングの完成度が高いということ。今平周吾がプロデビューしたときも、ショットの精度の高い選手が出てきたと話題になりましたが、今は今平周吾クラスのショットメーカーがうじゃうじゃいる感じがします。
例えば久常のスウィングを見ていると、すごくシャロ―にクラブを使っていて、インパクトゾーンは長く、もう「ナイスショットが確定されたスウィング」のように思えます。スマホ世代の彼らは、世界の最先端のスウィングやトレーニングなどの情報が当たり前のようにある中で育っていて、参考にするような動画も簡単に手に入るし、スウィングで迷う時間は昔に比べたら少ないのかもしれませんね。
そして今週もそんな若手世代の中から、また一人プロ転向をしたゴルファーがいます。東北福祉大学4年生の杉原大河(22歳)がフェニックストーナメントでプロデビューしました。彼も2019年のときにAbemaTVツアーで優勝しています。
杉原の魅力はやっぱり何といってもその飛距離。4日間平均326.25ヤード飛ばし、先週の三井住友VISA太平洋マスターズでは、並みいるプロを抑えて平均飛距離で1位を獲得していました。思えば彼と初めて出会ったのは、彼がまだ江連忠コーチの元で教わっていたころ。まだ高校生でしたから、それがこんな320ヤードも飛ばすスケールの大きい選手になって帰ってくるなんて……。
彼ら若い世代のもうひとつの特徴は、「松山英樹の世界での活躍を目の当たりにして育ってきている」ということ。昔は“世界で活躍する”というのは、絵空事のようなイメージはありましたが、今はそれを当たり前のように口に出せるし、心の底からそう思ってやっている選手が増えた感じがあります。目標意識がすでに高いので、普段の練習やトレーニングなども自ずと意識が高くなりますよね。それが彼ら世代を強くしているんでしょうね。
また世界に出るための準備もしていて、中島啓太は英語が上手い。アジアアマで優勝したあとの英語での優勝スピーチはカッコよかったですよね。同じナショナルチームで一緒に今年の世界アマに出場した米澤蓮(22歳)も英語ペラペラみたいですよ。2人とももうすでに海外でのプレーを見据えているんですね。
男子の若者たちが海外に巣立っていくのが当たり前になってくれば、またさらに若い層の活躍が目立ってくるでしょう。日本の男子プロの未来は明るいやもしれませんね。
写真/有原裕晶